...一生陣笠で終るものもあろう...
丘浅次郎 「人間生活の矛盾」
...「よしか森久保君……」と陣笠は安本の太平記を盲探(めくらさが)しに開(あ)けてみて「さ...
薄田泣菫 「茶話」
...おまえはこの陣笠を笑えない...
太宰治 「創生記」
...屋根へ登っている人もあったし、二階から、天水桶の上から、石の上に、柱に縋りついて――「見えた」一人が叫ぶと、人々は背延びして、往来の真中へ雪崩れ出して、足軽に叱られたり――槍が、陽にきらきらしていたし、馬上の士の陣笠、罪状板が見えてきた...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...お由羅は、朱塗、金蒔絵の女駕に、斉興も、駕に、平、将曹等は、馬上で――その左右には、書院番、奥小姓などが、付き添うて、それぞれ、陣笠に、陽を避けつつ、いろいろの響きを、混合させて、橋いっぱいになって、通りかかって来た...
直木三十五 「南国太平記」
...例の通り筒袖の羽織に陣笠をいただいた駒井能登守でありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...「よし、それでは、もう一度見届けて来てやろう」多少の責任感のようなものに迫られて、駒井は寝室に入ってねまきを着ることの代りに、刀架に置いた刀をとって差し、陣笠をかぶり、鞭をとって、音のしないように、この家の外の闇に出てしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...また以前と同様な陣笠...
中里介山 「大菩薩峠」
...おれには物置にある陣笠(じんがさ)をかぶれと云うかも知れない」「ホホホホ兄さんは随分口が達者ね」「達者なのは口だけか...
夏目漱石 「虞美人草」
...微行とは言っても、三万八千石の大名の御曹司で出雲守と任官している位ですから、裏金の陣笠、地味ではあるが緞子(どんす)の野袴(のばかま)、金銀の飾目立たぬほどにこしらえた両刀など、さすがに尋常ならぬものがあります...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...親分は君を陣笠で置くつもりはないんじゃよ...
火野葦平 「花と龍」
...長押の上には大昔の薙刀や槍や陣笠などがならべてある古めかしい家の長男であり...
牧野信一 「西部劇通信」
...陣笠の数を殖やそうというつもりなんだ」「そしてお母さんは...
山本周五郎 「山彦乙女」
...徳川家の陣笠(じんがさ)がうろついてきたぞ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...陣笠、槍の先など、垣越しに見せて誘い合わせながら、もうわらわらと駈けて行くのだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...二頭には陣笠、羅紗羽織(らしゃばおり)を着て、羽織の上から白襷(しろだすき)をかけ、くくり袴(ばかま)に草鞋(わらじ)ばきであった...
吉川英治 「松のや露八」
...動かずにいた佐渡の陣笠が...
吉川英治 「宮本武蔵」
...佐渡の陣笠の裡(うち)を見上げた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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