...ただ「春風」とか「春の月」とかいう春という字のくっついているのにさらに春季の季題である「霞(かすみ)」「氷解」「燕」「桜の花」「種蒔(たねまき)」「長閑(のどか)」などをあわせ用うることは重複した感じを与えることになるからこれを忌むのであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...そうして御台の無心らしい微笑(ほゝえ)みや長閑(のど)かな笑いごえの底にも...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...これで札幌の町の十何条二十何丁の長閑(のどか)さを羨まなくてもすむことになったわけである...
寺田寅彦 「札幌まで」
...私たちは長閑(のどか)な海を眺めながら...
徳田秋声 「蒼白い月」
...着物更えて長閑(のどか)に遊ばぬ人は無い...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...殿様や若旦那の長閑(のどか)な顔が曇らぬやうに...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...あまり長閑(のどか)な心持になれようはずがなかった...
夏目漱石 「道草」
...蛇(じゃ)の目の色がきらきらする所に陽炎(かげろう)が燃えるごとく長閑(のどか)に思われる日もあった...
夏目漱石 「門」
...三人(にん)は飯(めし)の濟(す)む迄(まで)無邪氣(むじやき)に長閑(のどか)な話(はなし)をつゞけた...
夏目漱石 「門」
...飛脚馬(ひきやくうま)――などと一緒に平次とお六も此上もない長閑(のどか)な旅を續けたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...遠い熱帯国の空からでも飛んで来た一群の金翅鳥(カルラ)が美しい東の国の長閑なる風のかほる景色に見惚れて...
牧野信一 「或るハイカーの記」
...実(げ)にもおもしろく長閑な哀調に富んだ節まはしで...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...長閑な空には一羽の鳶が諧調的な叫びを挙げながら大輪を描いてゐた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...工場の上を長閑(のどか)に舞っている二羽の鳶を二人とも仰ぎ見た...
夢野久作 「オンチ」
...谷々に啼く山鶯の声のみ長閑(のどか)なり...
夢野久作 「白くれない」
...ひん」長閑斎は甘んじて這い歩くのである...
吉川英治 「新書太閤記」
...明智長閑斎光廉(ちょうかんさいみつかど)である...
吉川英治 「新書太閤記」
...長閑斎は、さきに甥の光春を介錯(かいしゃく)した光春所持の刀を帯していた...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索