...お一人さん――旅籠は鐚(びた)でお定(きま)り...
泉鏡花 「浮舟」
...先は足もとを見やがったのか二百ドルが鐚(びた)一文(もん)も負からない...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...その代り鐚(びた)一文自分の意志で使おうという気も起らぬ...
徳田秋声 「新世帯」
...「びた公!」と言った神尾の権幕の変っているのに思わずゾッとした鐚助は...
中里介山 「大菩薩峠」
...神尾を誘惑に鐚を遣(つか)わしたことも...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚は鐚で休息させて置いて...
中里介山 「大菩薩峠」
...これがその三一旦那から頂戴に及んだ短冊でげして」「そうか、貴様が贔屓(ひいき)になる三一旦那というのが和歌を詠んで、貴様に見せた、和歌の和の字も知らない貴様も、旦那のものだから無性に褒(ほ)めて置いたが、中身は何だか一向わからん、それで後日糺問(きゅうもん)されると困るから、一応おれに見て講義をして置いてくれというわけだな」「まさに仰せの通り――鐚儀、お弟子入り、お弟子入り」「どれ見せろ」と神尾主膳が、鐚の手から短冊を受取って、それを上から読みおろしてみると、かながはで、蒸気の船に打乗りて、一升さげて、南面して行く「何だ、これは」神尾が、甚(はばはだ)しく不興な面をして、短冊をポンと抛(ほう)り出したものですから、鐚があわててこれを拾い上げて後生大切に袖で持ち、「めっそうな!大尽(だいじん)のお墨附! めっそうな」仰々しく取り上げて、恨み面にじっと主膳の面を見上げていると、「貴様の贔屓を受けている三一旦那とやらは、いったい何者だ!」主膳が、怒鳴りつけるように一喝(いっかつ)したその調子が変ですから、鐚があわてて、逃げ腰になりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚(びた)は鐚で...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚としては、せっかくのヒットたる芸娼院の方も、開店休業の姿だから、なんとかせねばなるまいが、いやはや、手をつけてみると、そのややこしいこと、それで少々気を腐らせているという次第です...
中里介山 「大菩薩峠」
...とりあえず鐚の方へ持ちこまれた苦情のうちの一つに――いやしくも芸と名のつく以上...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚も物の哀れを感じないわけにはゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...全く思い付きだ」「ヘエ――」「青銭や鐚銭(びたせん)を小粒に変えたのも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鐚銭(びたせん)一枚その辺りには見付かりません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鐚(びた)一文(もん)缺(か)けても相成らぬぞ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鐚錢(びたせん)一枚も出ては來なかつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鐚(びた)一文も不審な金はございません」どこで聽いてゐたか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鐚錢(びたせん)か...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そんな女と結婚するなら鐚一文(びたいちもん)もやらぬ...
松本泰 「緑衣の女」
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