...まだ鐚(びた)一文も...
海野十三 「雷」
...鐚(びた)一文(もん)も貰へない...
薄田泣菫 「茶話」
...そんな折にも鐚銭(びたせん)一つ持合さないのが何よりの自慢らしい...
薄田泣菫 「茶話」
...鐚(びた)一文でも欠けるならたとい自分は餓死するとも雇われない」というから...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...浅間しくないんだね!……私もうお前さんから鐚一文だって貰やしない...
豊島与志雄 「神棚」
...そんなところへ出すお金なんぞ鐚一文もございません」「何だと...
中里介山 「大菩薩峠」
...そんなところへ出す銭は鐚一文(びたいちもん)もねえんだとよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...「鐚助か」「殿様、いったい何とあそばしたのでげす、我々共がちょっと目をはなしますてえと、これだからおそれやす」「鐚助、いいところへ来た、今日は朝からむしゃくしゃしてたまらないところだ、面(つら)をだせ、もっとこっちへ面をだせ」と神尾主膳が、やけに言いますと、金助改め鐚助が、「この面でげすか、この面が御入用とあれば……」「そうだ、そうだ、その面をもっと近く、ここへ出せ」「いけやせん、もともと金公の面なんて面は、出し惜みをするような面じゃがあせんが、それだと申して、殿様のその御権幕の前へ出した日にゃたまりません」「出さないか」「出しませんよ、決して出しません、いい気になってつん出した途端を、ぽかり! 鐚助、貴様のは千枚張りだから、このくらい食わしても痛みは感じまい、どうだ、少しはこたえるか、なんぞと来た日にはたまりませんからな...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚助夙(つと)に承っておりまするでげす」意外にも神尾は...
中里介山 「大菩薩峠」
...その行きがけに鐚をも振り飛ばして...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚は鐚であれから一目散に...
中里介山 「大菩薩峠」
...百十鐚が飛び込んで玄関に倒れた屋敷の中の広間では...
中里介山 「大菩薩峠」
...さればこそ、鐚の奴も、命からがらああして逃げては来たが、やっぱり本性は違(たが)わずに、落着くべきところへ落着いたのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...例の鐚(びた)であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...その旦那が次のような歌をお詠(よ)みになりまして、鐚、どんなもんだ、点をしてくれろとおっしゃる、内心ドキリと参りましたね、実のところ、鐚も十有五にして遊里にはまり、三十にして身代をつぶした功の者でげして、その間(かん)、声色、物まね、潮来(いたこ)、新内、何でもござれ、悪食(あくじき)にかけちゃあ相当なんでげすが、まだ、みそひともじは食べつけねえんでげすが、そこはそれ! 天性の厚化粧、別誂(べつあつら)いの面(つら)の皮でげすから、さりげなくその短冊を拝見の、こう、首を少々横に捻(ひね)りましてな、いささか平貞盛とおいでなすってからに、これはこの新古今述懐の――むにゃむにゃと申して、お見事、お見事、ことに第五の句のところが何とも言えません、と申し上げたところが、ことごとく旦那の御機嫌にかなって、錦水を一席おごっていただきやしたが、実のところ、鐚には歌もヌタもごっちゃでげして、何が何やらわからねえんでげす、後日に至りやして、三一旦那から再度の御吟味を仰せつかった時にテレてしまいますでな、どうか、その御解釈のところを篤と胸に畳んで置きてえんでございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...たとえ鐚(びた)にしてからが...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚(びた)一文欲しゅうはないよ」「そんなら...
火野葦平 「花と龍」
...鐚(びた)一文もくれはしない...
吉川英治 「新・水滸伝」
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