...自分は鐚一文だつて彼等の世話にならうなどとは思つてゐない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...宿銭(とまり)は鐚(びた)でお定(さだま)り...
泉鏡花 「浮舟」
...先は足もとを見やがったのか二百ドルが鐚(びた)一文(もん)も負からない...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...道端に乞食が一人しゃがんで頻(しき)りに叩頭(ぬかず)いていたが誰れも慈善家でないと見えて鐚一文(びたいちもん)も奉捨にならなかったのは気の毒であった...
寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
...わたしのところでは鐚一文(びたいちもん)だってとれないんだよ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...この鐚助独特のラシャメン立国論で――こいつが臆面なく喋(しゃべ)り立てるラシャメン立国論というのは...
中里介山 「大菩薩峠」
...百十鐚が飛び込んで玄関に倒れた屋敷の中の広間では...
中里介山 「大菩薩峠」
...さればこそ、鐚の奴も、命からがらああして逃げては来たが、やっぱり本性は違(たが)わずに、落着くべきところへ落着いたのだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...さて、鐚儀(びたぎ)、今日の推参の次第と申しまするは、決して色の酒のと野暮(やぼ)な諫言立(かんげんだ)てのためにあらず――近来稀れなる風流の御相談を兼ねて参じやした」「風流――風通(ふうつう)の間違いだろう、風通の一枚もこしらえたいが、銭がねえというところだろう」主膳も、いささかアクドイ応酬を致しましたが、鐚に於ては洒唖乎(しゃああ)たるもので、「どう致しやして、衣食足って礼節を知る、古人はいいところを言いやした、鐚儀が不肖ながら食物は今朝アブ玉で、とんとお腹いっぱいこしらえて参じやした、食の方は事足りて余りあり、衣の方に於きましては、これごらんあそばせ、上着が空色の熨斗目(のしめ)で日暮方という代物(しろもの)、昼時分という鳶八丈(とびはちじょう)の取合せが乙じゃあございませんか...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚公(びたこう)の如きがその一人...
中里介山 「大菩薩峠」
...鐚(びた)は、とつ、おいつ、こんなことを言って、自宅にくすぶって気を腐らせていると、溝板(どぶいた)を荒々しく蹴鳴らして、「鐚公、いるか」その声は、まさしく木口勘兵衛尉源丁馬...
中里介山 「大菩薩峠」
...その姿を見て、鐚が、なるほど姪を孕まして、板下に書いて売出しそうなおやじだ、至極お人よしだなと思いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...手頃な瓶に鐚銭(びたせん)でも詰めてよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鐚(びた)一文欠けても相成らぬぞ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...鐚錢(びたせん)一枚も出ては來なかつたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鐚錢(びたせん)か...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鐚銭(びたせん)一文出しやがらんでお前...
横光利一 「南北」
...鐚銭(びたせん)が投げられた...
吉川英治 「下頭橋由来」
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