...メレジコフスキーは其鋭利にして淺薄なる洞察を以つて――俺は此大膽なる斷定を敢てする――トルストイの本質を異教的な心だと斷じた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...固より趣味の程度が違つてゐるから、自分のいふ所多くは先生の考と一致しない、先生のいふ所又一寸分らぬことが少くない、それで質問される、質問する自分の非なることが直ぐ分る時と分らぬ時がある、分らぬ時は自ら衝突する、自分にも負惜みがあるから、右へ逃げ左に逃げ種々にもがきながらも、隨分烈しき抗辨をする、こうなると先生の頭はいよ/\さえてくる、益々鋭利になる、相手を屈服させなければ止まぬといふ勢で、鐵でも石でも悉く斷ち割るべきケンマク、そこまでくると降伏し樣にも降伏もさせない、骨にシミル樣な痛罵を交じへられる、こんな時には畏しく悲しくなることがある、先生は一面に慥に冷酷な天性を持つてゐらるゝなどゝ感ずるのは如斯塲合にあるのであツた...
伊藤左千夫 「竹の里人 一」
...この社會主義は最も鋭利に...
堺利彦訳 幸徳秋水訳 「共産黨宣言」
...もっと鋭利にして返した...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...而も彼は与えられたる事実を鋭利に確実に追求する思想家であるばかりではなく又自由な創造の想像力によって広範な世界に住し既知のものから前人未発の真を見出して科学の研究に新しい刺戟を与える底の思想家であったということにあると思う...
戸坂潤 「カントと現代の科学」
...悲痛は感覚を鋭利にする...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...数世紀来孤立してきて嘲笑的な観察眼が鋭利にされているので――最も進んだ精神の所有者であり...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼の注意は鋭利に...
豊島与志雄 「二つの途」
...文辞佳麗論鋒(ろんぽう)鋭利にしてしかも芸術的感情に富みたる完全なる好著なりしが...
永井荷風 「江戸芸術論」
...舌はます/\大きくその針はます/\鋭利に光り輝いた...
村山槐多 「悪魔の舌」
...唯彼の相貌が著るしく鋭利に神経的になつた事に特に気がついた...
村山槐多 「殺人行者」
...それらしい事は一つも申し上げなかつたとかんさんはりくどくしかも鋭利に説き諭した...
室生犀星 「渚」
...判断を鋭利にすると共に正義を学んだのであった...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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