...ナイフか何かの鋭利な刄物で自分の背中をつき刺しはしないかと云ふ疑ひも起つた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...私は鋭利な食慾を感じた...
谷譲次 「踊る地平線」
...肘(ひじ)の上のとこスルスルと鋭利な感覚がした思たら...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...かの女は鋭利な鎌を腰にさしてゐた...
田山花袋 「歸國」
...これを錬(きた)え直して造った新しい鋭利なメスで...
寺田寅彦 「アインシュタイン」
...その基底は鋭利な観察によって複雑な事象をその要素に分析する心の作用がなければなるまい...
寺田寅彦 「科学者と芸術家」
...すぐれた作者の鋭利な直観の力で未然に洞察(どうさつ)されていた例も少なくないであろう...
寺田寅彦 「科学と文学」
...兇暴の野猪を下して鋭利なるましろき牙を鳴らさしめ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...鋭利な刃物で顔面や胸部を抉られて...
豊島与志雄 「立札」
...二寸ばかりの鋭利なる穂先が菱(ひし)のように立てられてあるのでありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...死骸の側には鋭利な草苅鎌(くさかりがま)が一梃...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...丸坊主にされたわけではなかったけれども、鋭利な刃物で、黒髪を、ほとんど根元から、全面的に、切り取られた...
火野葦平 「花と龍」
...背中には新しい鋭利な小刀がつきさしてあったというのです...
平林初之輔 「予審調書」
...板に鉋をかける機械や大きな欅の丸木を荒挽(あらびき)する機械や上下の車輪に張り渡されて非常な速さで廻転してゐる鋭利なリボン鋸や水車のやうに廻転してゐる車鋸や鋸の歯を一本々々金剛砂砥(こんがうしやと)で研(みが)いてゐる人間よりも巧妙なる機械やを私は一つとして感心せないで見ることは出来なかつた...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...無政府主義を跡継ぎに持っているMax(マックス)Stirner(スチルネル)の鋭利な論法に...
森鴎外 「沈黙の塔」
...鋭利なナイフで切り開かれたような気持ちがして涙ぐんでしまった...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...ご要心なすって下さい」三位卿は混惑してきた脳髄(のうずい)をいきなり村正(むらまさ)かなんぞの鋭利な閃刃(せんじん)で...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...詠嘆の率直鋭利な表現は顧みられなくなった...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索