...臆病な若い醫者が初めて鋭利な外科刀(メス)を持つた時のやうな心持で極めて熱心に取り扱つてゐた...
石川啄木 「葉書」
...鋭利なナイフかピストルを匿してでもいるようだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...これを錬(きた)え直して造った新しい鋭利なメスで...
寺田寅彦 「アインシュタイン」
...芸術家としての鋭利な直感によるのが普通ではあろうが...
寺田寅彦 「文学の中の科学的要素」
...535ついでメゲース鋭利なる槍繰り出し...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...』しかく陳じて鋭利なる槍を揮ひて敵を討つ...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...底力のない鋭利な光が浮動している...
豊島与志雄 「慾」
...両室共に牢の格子が鋭利なる鋸(のこぎり)の類で挽(ひ)き切られていたのを...
中里介山 「大菩薩峠」
...一切の強欲の軋轢の苦役から放免せられてゐる山々一寸きざみに山へ登りつめる廣い天と地鋭利な知能を必要とはしない自然老境にはいつた都會を見捨てゝ柔い山ふところに登りつめる私私はその樂しみの飽くことを知らない...
林芙美子 「屋久島紀行」
...風の鋭利な刃がしつこい霧の幕をズタズタに引き裂いて...
細井吉造 「二つの松川」
...其が鋭利な刄(は)物になツて眼の中に突ツ込むで來る...
三島霜川 「昔の女」
...板に鉋をかける機械や大きな欅の丸木を荒挽(あらびき)する機械や上下の車輪に張り渡されて非常な速さで廻転してゐる鋭利なリボン鋸や水車のやうに廻転してゐる車鋸や鋸の歯を一本々々金剛砂砥(こんがうしやと)で研(みが)いてゐる人間よりも巧妙なる機械やを私は一つとして感心せないで見ることは出来なかつた...
宮地嘉六 「ある職工の手記」
...先(ま)ず胸から腿(もも)へかけて羽毛(はね)をよく刈ってそれから鋭利な刃物(はもの)で腿と胴の間の外皮(かわ)を一寸ほど切る...
村井弦斎 「食道楽」
...背後に充分な伝統をもった鋭利な眼力がある...
柳宗悦 「民藝四十年」
...頗(すこぶ)る鋭利な...
夢野久作 「冗談に殺す」
...秘蔵のマキリ(アイヌが熊狩りに用いる鋭利な短刀)一挺(ちょう)と...
夢野久作 「白菊」
...非常に鋭利なものであったが...
夢野久作 「一足お先に」
...鄭(てい)も鋭利な骨削(ほねけず)り包丁を持って...
吉川英治 「新・水滸伝」
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