...然しその照らしは却つて自分の苦悶を一層明暸に自覺させる鋭さであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...鋭い氷の長い破片を...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...彼は鋭い観察者であり自分の観察の注意深いノートを取った...
ジェイムズ・サンヅ・エリオット James Sands Elliott 水上茂樹訳 「ギリシャおよびローマ医学の概観」
...黒い一杯の人だかりの間からは何やら鋭い言葉を叫ぶ者がゐた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...その外にまだなんだか胸に響くような鋭い喜びと悲しみの念が湧いて来る...
寺田寅彦 「森の絵」
...精鋭及び數のうへ優る衆軍從へり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...これがために精鋭なる陸海軍を整理し...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...あまり鋭利ではない...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...四疋とも、行ったかえ」「四疋とも、行ったよ」「旦那、ここには、四疋しか居りませんのでのう」和田は、馬側へ近づいて「一足ちがいで、家中の者が、四人で――」と、まで云うと、「今か――」玄白斎が、大きい声をして、和田を、鋭く見た...
直木三十五 「南国太平記」
...弁信の鋭敏な耳を待つまでもなく...
中里介山 「大菩薩峠」
...陰気な空気を割(さ)いて鋭どく往来に響く下の方へ降りて行った...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...俺がわざわざここへ来るものか」「何だと?」市五郎は少しばかり鋭鋒(えいほう)を納めて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...彼の頭にいつまでも鋭く残されたものは実に他愛もない断片であった...
原民喜 「風景」
......
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...今までよりも更に数等深い鋭い恐怖に襲われつつ...
夢野久作 「殺人迷路」
...屋敷の眼光は鋭いがそれが柔ぐと相手の心を分裂させてしまう不思議な魅力を持っているのである...
横光利一 「機械」
...暫く鋭い表情のまま黙っていてからまた云った...
横光利一 「旅愁」
...ほかならぬきさまのこと、きさまだけには見せてつかわす」「はっ、これはもったいない」黄(こう)は、うやうやしげに押しいただき、蔡(さい)大臣の返翰(へんかん)を読み初めていたが、鋭い目が、やがて再三、再四と、その小首をかしげさせ、ついに思いきった風でいった...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索