...次に彼は、驚くべき敏捷(びんしょう)さでもって、内懐(ふところ)から、黄色い手袋を出して嵌(は)め、そしてどこに隠してあったのか、マスクをひょいと被ると、例の封筒を指先で摘(つま)みあげて、端の方を、鋏(はさみ)で、静かに截(き)り開(ひら)いた...
海野十三 「空襲葬送曲」
...鋸、鉈、鉋、小刀、小鋏、さういふものをかれ等は皆な一人々々持つてゐた...
田山花袋 「歸國」
...これに反して私の鋏がなんだか平和な穏やかなもののように思われた...
寺田寅彦 「芝刈り」
...その底をくぐって進んで行く鋏(はさみ)の律動につれてムクムクと動いていた...
寺田寅彦 「芝刈り」
...一つ鋏にかかってつぶれたのをあけて見たら中には蜥蜴(とかげ)のかえりかかったのがはいっていたそうである...
寺田寅彦 「芝刈り」
...ひとりは大きな鋏(はさみ)を取り...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...鋏はかちゃりと床(ゆか)の上に落ちた...
夏目漱石 「虞美人草」
...鋏(はさみ)の切口まで判然わかりますが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...松五郎の植木鋏で突き殺した...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「鋏(はさみ)ではない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...手には大きな虎鋏(とらばさみ)...
野村胡堂 「礫心中」
...小山はわたしのパアマネントの髪の毛をじやくじやくと鋏で切つてしまつた...
林芙美子 「淪落」
...新しい鋏の先が軽快に動いてゐた...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...鋏ではないんだよ...
牧野信一 「武者窓日記」
...ピンセットだの鋸(のこぎり)だの鋏(はさみ)だの刀(メス)だの...
三島霜川 「解剖室」
...野蛮な響きを撒きちらす鋏...
矢田津世子 「罠を跳び越える女」
...机の上の文筺(ふばこ)から鋏(はさみ)を取り...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...未亡人の枕元に光っている銀色の鋏(はさみ)を取り上げた...
夢野久作 「一足お先に」
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