...奈何だべなア! 神様さア喜捨(あげ)る銭金(ぜにかね)が有つたら石油(あぶら)でも買ふべえドラ...
石川啄木 「赤痢」
...『何もその銭金の費(かか)る事(こつ)で無えのだ...
石川啄木 「赤痢」
...「でも困りましたねえ――」「お礼なら十分しますわ」「いや銭金で片づかないことでございます」と突っぱねて...
海野十三 「三人の双生児」
...佐助も気の毒に思い恐る恐るその旨(むね)を取り次いで陳弁(ちんべん)するとにわかに顔の色を変えて月謝や付け届けをやかましく云うのを慾張りのように思うか知れぬがそんな訳ではない銭金はどうでもよけれど大体の目安を定めて置かなんだら師弟の礼儀というものが成り立たぬ...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...それを強請(ゆすり)かなんぞのように銭金(ぜにかね)で追っ払いなぞは恐れ入ります」そろそろ七兵衛の言い分が巽上(たつみあが)りになって...
中里介山 「大菩薩峠」
...この馬が千両からの銭金(ぜにかね)をつけているかいねえか...
中里介山 「大菩薩峠」
...この銭金(ぜにかね)という野郎は……」米友は数えかけた天保銭を二三枚取って...
中里介山 「大菩薩峠」
...そう多分に銭金に恵まれつつ育って来た男ではないこと申すまでもありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...飛んで火に入る夏の虫とは本当にこのこと、三百両は惜しいけれども、銭金のことは、またどこでどうして稼(かせ)ぎ出せないとも限らない、命は二つとありませんからね、せっかくだが、あきらめちまいましょうよ」「ところがねえ、お蘭さん、その辺に抜かりのあるがんりきじゃあございません、その預け先というのが、決して、どう間違っても、ばれたり、足のついたりする相手じゃあねえのですから、豪気なものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...後ろ捨身に投げられた銭金袋に目がつかないわけにはゆきません...
中里介山 「大菩薩峠」
...銭金(ぜにかね)にはあんまり縁の遠かりそうな男が...
中里介山 「大菩薩峠」
...心のうちで難有(ありがた)いと恩に着るのは銭金で買える返礼じゃない...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...僅(わず)かな銭金(ぜにかね)にゃ代らないよ」...
新美南吉 「最後の胡弓弾き」
...銭金(ぜにかね)じゃなかとたい...
火野葦平 「花と龍」
...それは銭金に換えられぬ大きな遺産といえよう...
火野葦平 「花と龍」
...桜の句も銭金を湯水につかふ松の内とでもなさば月並調となるべし...
正岡子規 「墨汁一滴」
...――あたしは銭金(ぜにかね)のことなんか云やあしないよ...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...銭金(ぜにかね)に代えられねえ」「じゃあ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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