...何分にも農場は太古から斧鉞が入らない原始の豊饒な土地なもので麦などは実に見事に出来るのですがそれにいゝ気になつて...
有島武郎 「農場開放顛末」
...鉞などの荒道具が得意な代り...
石川啄木 「赤痢」
...天地開闢以來(てんちかいびやくいらい)未(いま)だ斧鉞(ふいつ)の入(い)らざる大森林(だいしんりん)...
伊東忠太 「妖怪研究」
...檐(のき)傾き壁くずるというほどならねど、位置が位置とて古木森々として昼さえ人足まれなれば、夜は一層もの寂しさ言わん方なきに、このほどよりその堂の後方にて、夜な夜な異様のなき声すとて大評判となり、住職渡辺某はじめ、必定(ひつじょう)世にいう化け物とやらんいう怪物ならんと、宵より衾(ふすま)を打ちかぶりて臥(ふ)すほどなりしが、ツイ四、五日前の夜のことなりとか、たまたま近所の若者十四、五名、一杯機嫌のおもしろ半分、今夜こそは西方院の化け物を退治しやらんと、手に手に斧(おの)、鉞(まさかり)、棍棒(こんぼう)などを取りつつ、台所なる炉に榾柮(ほた)折りくべて団欒(だんらん)し、イザござんなれと待ち構うるとは知るや知らずや、夜も深々と更けわたる真夜中ごろ、果たして堂後に化け物の声すと聞くやいなや、一同スワこそと左右前後より滅多打ちにうちたたきたるに、なにものか手ごたえせるより、「手燭(てしょく)よ、松明(たいまつ)よ」と灯をよび照らし見れば、これなん、年久しく伽藍にすみし一老大貂にして、背中のみ黒くほかの三分の二は白く、一見ゾッとするばかりの怪獣なりしに、さすがは血気の若者ども、そのまま料理して下物(さかな)となし、酒は住職のおごりとなし、舌鼓して食い尽くせしとはなかなかの快談にこそ...
井上円了 「おばけの正体」
...彼の手には一挺(ちょう)の大きな鉞(まさかり)が握られた...
海野十三 「軍用鼠」
...嘗ての頃の尾根々々は斧鉞の入らない鬱蒼とした森林におおわれていたから...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...「ここら辺りには両刄の剣や鉞等ありはいたしませんでしょう」ヴァランタンはなおも眼の前の紙片に何か書つけていた...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「秘密の庭」
...汽車に乗ればやがて斧鉞(ふえつ)のあとなき原始林も見られ...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...すぐ三千年斧鉞のはいらない...
中谷宇吉郎 「琵琶湖の水」
...鉈(なた)や鉞(まさかり)で殺していいものか悪いものか――」「待ちなよ八...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...たまたま斧鉞を加へられたと思ふ個所も...
萩原朔太郎 「永遠の詩人」
...鉞(まさかり)にて草を苅(か)り鎌(かま)にて土を掘るなど...
柳田国男 「遠野物語」
...それに、大きな刄廣の鋸と、鉞が一丁、小さな瓢が一つ、括しつけてある...
吉江喬松 「山岳美觀」
...鉞(マサカリ)ナド前後ヲカタメ...
吉川英治 「剣の四君子」
...中にも白旄黄鉞(はくぼうこうえつ)の燦々(さんさん)たる親衛兵にかこまれている白馬金鞍の大将こそ...
吉川英治 「三国志」
...弩(いしゆみ)千張と黄鉞(こうえつ)銀鎗(ぎんそう)を舷側にたてならべ...
吉川英治 「三国志」
...黄鉞(こうえつ)...
吉川英治 「三国志」
...はやくも二本鉞斧(まさかり)を両手に振って縦横無尽城兵を追い廻しているのでもすぐわかる...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索