...私は先生の後からついて入ったが、雪のように白い髪粉(かみこ)をつけ(註一二)、きらきらした黒い眼をした、挙動の快活な、品のよい立派なその医師と、粗野な田舎の人々、就中(なかんずく)、ラムが大分って、テーブルに両腕を張って腰掛けている、垢じみた、鈍重な、酔眼朦朧たる、ぼろぼろ着物の案山子(かかし)みたいな例の海賊君との対照が、目に止ったことを覚えている...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...鈍重な風格を備えているのであります...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...鈍重な下膨(しもぶく)れの輪郭も...
寺田寅彦 「ある日の経験」
...積極的には何の障りにもならない鈍重な動物のやうな彼女ではあつたけれど...
徳田秋聲 「余震の一夜」
...骨の角立ったそして鈍重な感じのする風貌の者が多く...
豊島与志雄 「在学理由」
...それらの鈍重な男子たち...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...鈍重なずっしりとした容積だった...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...行ってみましょうか」清吉が鈍重な口調で...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここいらに住んでいる女じゃありませんね」鈍重な清吉もまた...
中里介山 「大菩薩峠」
...鈍重な与八が、応接に追われるほどの進行ぶり...
中里介山 「大菩薩峠」
...低く垂れていた鈍重な雪雲の幕が一気にひきあけられ...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...それは予め彼が鈍重な頭をしぼつて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...鈍重な亜米利加の警察も...
牧逸馬 「土から手が」
...驢馬の耳のやうに鈍重な神経ばかりが...
牧野信一 「明るく・暗く」
...人のよさそうな鈍重な声で問うた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...のっそりと鈍重なところや...
山本周五郎 「季節のない街」
...冬の黙々と鈍重なる...
吉川英治 「新書太閤記」
...まるで鈍重な意地そのものゝやうに見える...
若杉鳥子 「烈日」
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