...貴樣は何だ、鉛ぢやないか、歡びも、悲しみも、怒りも、恨みも、重く、鈍く、光なく、薄汚く、よぼ/\と、のろ/\と、跛(いざ)り行かしむる貴樣は鉛の精ぢやないか...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...十数挺の猟銃が黒い銃身を鈍く光らせて...
太宰治 「女の決闘」
...夕日がだんだん鈍くなって行く中で...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のおんな」
...単線のレールが鈍く光っているのを眺めながら...
外村繁 「澪標」
...海は湖水のように凪いで鈍く光っていた...
豊島与志雄 「不肖の兄」
...たゞ矢鱈に冷たく鈍く光つてゐた...
中原中也 「蜻蛉」
...時時、遠くから交叉點を横切る電車の響が、鈍く、寂しく聞えてくるのです...
南部修太郎 「S中尉の話」
...太鼓は風呂敷を被(かぶ)せると音が鈍くなつて遠くの方で叩くやうに聞えるし...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...倅は親の私を庇(かば)わなければならないうえ生れ付き腕が鈍くて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...冬の日は鈍くかすんで...
萩原朔太郎 「散文詩・詩的散文」
...そして吾妻橋にせよ、或は言問橋にせよ、私はそれを渡りながら、ふとその中ほどに立止つて、それらの橋の下を、鈍く、くろぐろと流れてゐる大川に見入るやうなことがあつた...
堀辰雄 「水のほとり」
...筋肉の働きは鈍くなつて来る...
正木不如丘 「健康を釣る」
...頂上のガラスを鈍く光らせたと思うと...
宮本百合子 「刻々」
...構成の全体で鈍くしかとらえていなかったことが分って来たので...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私が兄弟じゅうでのみならず、私の郷国(くに)のすべての子供の中で、学芸の修業にかけても体力の修業にかけても、最も遅くて鈍く、最もぐずであきっぽかったからといって、私を長男の位置からどかそうとするなら、それは恐らく不正なことと申されましょう**...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...動作はひどく緩慢で鈍く...
山本周五郎 「青べか物語」
...ものごとの判断も鈍く...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...「人生を見る眼が鈍く浅い...
和辻哲郎 「生きること作ること」
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