...この旅行が自分の鈍(にぶ)りかかった神経を鋭くしてくれれば好いがと思ったくらいであったから...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...頭の鋭さや鈍さ迄が...
戸坂潤 「思想としての文学」
...そして鈍い悲しみが一滴ずつ冷たい霧のようにたまってきた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...憐(あわ)れなジャックリーヌが惚(ほ)れ込んだ男は、ある運のよいパリーの著述家で、美しくも若くもなく、鈍重で、赭(あか)ら顔で、擦(す)れっからしで、歯は欠け、心はひどく乾(かわ)ききっていて、そのおもな値打ちと言っては、世にもてはやされてることと、多数の女を不幸な目に会わしたこととであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...駒井甚三郎あたりのせっかくの厳粛なる制裁心を鈍らせてしまうことになる...
中里介山 「大菩薩峠」
...屋根は鈍(にぶ)い赤で塗ってあった...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...世の中には随分口先きのみ達者で実行の鈍いものがある...
新渡戸稲造 「イエスキリストの友誼」
...金に見えたものが突然鈍い色の鉛に変わってしまうのが...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...今度ばかりは確かに鈍つてゐたらしい...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...何遍言ってきかせてもそんな腕の鈍いことでは駄目だよ...
細井和喜蔵 「女給」
...これはまた凡そ父親に似ないで皆が皆性格が極めて鈍重で...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...濃い鈍(にび)色の紙に書かれて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...汐(しお)は鈍く緩く...
森鴎外 「沈黙の塔」
...只朝凪(あさなぎ)の浦の静かな、鈍い、重くろしい波の音が、天地の脈搏(みやくはく)のやうに聞えてゐるばかりである...
森鴎外 「妄想」
...諏訪様の方では、牛は鈍いからと、夜中にたって大急ぎでやって来られたので、先に越後分の塞(さい)の神という所まで来て、そこでやっと越後様の馬と出あわれた...
柳田國男 「日本の伝説」
...寝起きの鈍(にぶ)い眼を...
吉川英治 「三国志」
...おいでなすったな」いくら鈍(どん)な武松にでも...
吉川英治 「新・水滸伝」
...鈍く光る短銃(ピストル)が握られていた...
蘭郁二郎 「鱗粉」
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