...他の感覚もまた鈍って来...
愛知敬一 「ファラデーの伝」
...貴樣は何だ、鉛ぢやないか、歡びも、悲しみも、怒りも、恨みも、重く、鈍く、光なく、薄汚く、よぼ/\と、のろ/\と、跛(いざ)り行かしむる貴樣は鉛の精ぢやないか...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...鈍い歩調(あしどり)で二三十歩...
石川啄木 「病院の窓」
...すべては、自身の弱さから、――私は、そう重く、鈍く、自己肯定を与えているのであるが、――すべては弱さと、我執(がしゅう)から、私は自身の家をみずから破った...
太宰治 「春の盗賊」
...やがて滝の鈍いうなりが聞えて来た...
小泉八雲 田部隆次訳 「幽霊滝の伝説」
...急に心が鈍ったようになって...
徳田秋声 「足迹」
...それ吾人が先祖は決して徳川氏封建末路の人民のごとく遅鈍・迂濶(うかつ)にしてしかも怯魂軟腸(きょうこんなんちょう)...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...まわりの鈍い眼つきの間で彼の心を打った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「旦那、方角がわからなくなっちまったんですが、どっちへいったもんでしょう!」正直な二人が、ようやくのことで弱音(よわね)を吐き出した時分は、もう真夜中で、彼等としては、こうも行ったら、ああも戻ったらという、思案と詮術(せんすべ)も尽き果てたから、鈍重な愚痴を、思わず駕籠の中なる人に向ってこぼしてみたのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...少し鈍重らしい五十男です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...愚鈍であるはずがない...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「盗まれた手紙」
...長じて正直者ながら経を誦(よ)む事鈍かった(『因果物語』中)...
南方熊楠 「十二支考」
...働きかけることの鈍いちょっとした暗示...
宮本百合子 「解説(『風知草』)」
...小石に触れて鈍く軋(きし)る車輪の響とが...
森鴎外 「沈黙の塔」
...ぼんやりした道の輪廓と鈍い足ざわりでもつて道を進みつづけた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...いずれ鈍刀(なまくら)じゃござンすまいね」「もちろん」「とすると――行平(ゆきひら)...
吉川英治 「江戸三国志」
...彼は鈍(どん)のようでいて鈍感ではない...
吉川英治 「私本太平記」
...まずその鈍麻した感覚をゆり起こして自らの殻を悟るがいい...
和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
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