...まだ釘店(くぎだな)の家の留守番をしていた葉子の叔母(おば)の所を尋ねてその考えを尋ねてみようとしたところが...
有島武郎 「或る女」
...揺れはじめたかと思うとアッという間に安全燈(ランプ)は釘を外れてレールの上へ転落して行った...
大阪圭吉 「坑鬼」
...まるで締めの弛んだ古釘を打ち直しでもするやうに...
薄田泣菫 「茶話」
...打ち込むことのできる釘やツボ釘や大釘をポケットにしまいこんだそうだが...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...それが今まで私の足を釘付(くぎづ)けにしていたのだということなぞがわかったら...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...それに留め釘が欠けていることが判るのもその常識によってである...
戸坂潤 「科学と科学の観念」
...釘抜のように力強い抱きつき方をした先刻の姿が...
豊島与志雄 「特殊部落の犯罪」
...板(いた)の儘(まゝ)ばら/\に成(な)つて居(ゐ)る棺臺(くわんだい)は買(か)つて來(き)てから近所(きんじよ)の手(て)で釘付(くぎづけ)にされた...
長塚節 「土」
...どこか釘が一本たりない...
野村胡堂 「胡堂百話」
...少し釘の足りない下女のお濱...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...まるで釘づけにされたように感じられ...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「変身」
...彦太郎が唐人川の土橋に足をかけた途端、それらの塵芥の山の一つに立っている三人の半被(はっぴ)姿の男が、ほれ見い、糞男(くそおとこ)が行くぞ、生意気な奴だ、この頃、俺たちの仕事の邪魔をしようとして居やがる、とかなんとか、がやがやと話し出したと見る間に、腰をかがめて、塵芥の山から、ブリキ缶(かん)や、釘の折れや、竹切れなどを拾って、塵の礫(つぶて)を飛ばし出した...
火野葦平 「糞尿譚」
...木々の枝を透いてあちこちの釘(くぎ)づけになった別荘が露(あら)わに見えて来ますが...
堀辰雄 「朴の咲く頃」
...問題の木ぶすまを開けて出て、振り返って、おぼろな、裸火で、じっと、お初をみつめて、「ほんとうに、大人(おとな)しくしていてくれなきゃあいけねえぜ」「駄目を押しすぎるよ、いい悪党の癖(くせ)にさ――」法印は、ニヤリとして、締りをしめると、太い止め釘を、ぐっと差し込んだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...戸の釘で指を傷つけた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...釘勘の伝法ことばを以て評すならば...
吉川英治 「江戸三国志」
...が――餅のようにねばり付いた釘抜きの体は...
吉川英治 「江戸三国志」
...本所菊川町の小さい螺旋釘(らせんくぎ)工場であった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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