...どうです、意気なお方に釣合わぬ……ン、と一ツ刎(は)ねないと、野暮な矢の字が、とうふにかすがい、糠(ぬか)に釘でぐしゃりとならあね...
泉鏡花 「歌行燈」
...「そんな野暮な顔をしねえで...
泉鏡花 「婦系図」
...失敬ながら田舎侍の野暮な過言(いひすぎ)だ子...
内田魯庵 「犬物語」
...この人はこの通り野暮なんだから」ナオミは「この人」と云う時に人差指で私の肩を軽く叩いて...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...というような野暮な質問は止めよう...
戸坂潤 「日本の頭脳調べ」
...思返えせば二十歳(はたち)の頃ふと芝居帰(がえり)の或夜(あるよ)野暮な屋敷の大小の重きを覚え...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...附添のが野暮な風(なり)こそしていらっしゃるが...
中里介山 「大菩薩峠」
...凡そ東京に永く生活して居て藝術界にも名を知られて居ながらあの位野暮な容子をした人は少いであらう...
長塚節 「記憶のまゝ」
...二人はただの道伴(みちづ)れだ」平次は野暮なことを言って大きく手を振ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ひどく野暮な拵へです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その頃の九段坂上は現今(いま)よりグッと野暮な山の手だった――富士見町の花柳界が盛りになったのは...
長谷川時雨 「お墓のすげかえ」
...野暮な姿と打(うち)つけの悪(にく)まれ口を...
樋口一葉 「たけくらべ」
...悪かったらごめんなさい」「きいたことに返事をしろ」「野暮なことをきくなよ...
久生十蘭 「金狼」
...野暮な通行人に新聞を売りつけていた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...こういう、云わば野暮な、問題のありのままの究明が、私たちの心に訴える力をもっているのは、決して只、その問題の書きかたがこれまでの「女の問題」の範囲から溢れた調子をもっているからというばかりではない...
宮本百合子 「合図の旗」
...もっとも真田の縁を取った慶庵の暖簾などはあまりくぐり栄えのせぬ野暮な代物...
山本笑月 「明治世相百話」
...野暮なところなきにしも非ずというよりも...
横光利一 「旅愁」
...野暮な青筋をたてるよりも...
吉川英治 「親鸞」
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