...執拗野卑なる賤民である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...いよいよ御来迎(ごらいごう)?」「来たね」というような野卑な言葉が...
有島武郎 「或る女」
...かくの如き者が何(なん)と口の先に礼を説こうとも、秩序を説こうとも、道徳を説こうとも、その野卑な言葉、その言葉の暗示の力というものは国民の思想を攪乱(かくらん)しないでは済まぬ...
大隈重信 「政治趣味の涵養」
...彼をその野卑な周囲からさえぎってしまった...
スティーヴンスン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」
...いやに肩を怒らした野卑な書体で...
太宰治 「惜別」
...あの頃よりさらに荒(すさ)んで野卑な酒飲みになり...
太宰治 「人間失格」
...呆(あき)れて応答も出来ないような野卑な口をきいて毒づくのである...
近松秋江 「霜凍る宵」
...思ひがけない野卑な惡意...
中島敦 「かめれおん日記」
...或は金錢を談ずることの野卑なのを羞ぢるのではないかと思つたので...
長塚節 「教師」
...かういふ野卑な対話でも私は平生ならば幾分の興味を持つたであらうが其日はいつまでも聞いて居ることが出来なかつた...
長塚節 「隣室の客」
...金五郎 (斜めの径の中程で、長脇差の鍔(つば)を鳴らす)鳥羽田(とばた)要助、酒毒で顔に赤い斑がある、袴、足駄穿き、武芸の心得あり気で、野卑な浮浪人...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...何も知らずに野卑な方言などを使ふのを...
牧野信一 「熱海線私語」
...さういふ悪い名前の糸は切らなければならないのだ……野卑な楽隊の音に連れて...
牧野信一 「或る日の運動」
...何か斯る野卑な不満以外に...
牧野信一 「毒気」
...少しも野卑なる処はなく...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...野卑なる俳諧も当時の嗜好(しこう)に合していたく世の持て囃(はや)す所となり...
正岡子規 「古池の句の弁」
...野卑な言葉を遣うはずがない...
三田村鳶魚 「中里介山の『大菩薩峠』」
...一ノ二「莫迦ッ、そんな事が出来ねエのか、間抜けめ!」親方は、野卑な言葉で、そう呶鳴(どな)ると、手に持った革の鞭で、床をビシビシ撲りつけながら、黒吉(くろきち)を、グッと睨みつけるのだった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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