...同時に又是等の人々の中に、貪慾なる、奸譎(かんけつ)なる、野卑なる、愚昧なる、放漫なる、が、常に同情を感ずる人間全体を見出したのであらう...
芥川龍之介 「大久保湖州」
...執拗野卑なる賤民である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...野卑な悪写実に走らずして...
高村光太郎 「美の日本的源泉」
...その言語野卑なり...
太宰治 「パウロの混乱」
...野卑な人々だった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...多くのはなやかな野卑な楽しみを持っている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...野卑な哀音が夜をこめて...
中里介山 「大菩薩峠」
...或は金錢を談ずることの野卑なのを羞ぢるのではないかと思つたので...
長塚節 「教師」
...もつとざつくばらんで野卑な氣持ちがあつたから...
萩原朔太郎 「非論理的性格の悲哀」
...野卑な厭味とキザとで芬々たる臭氣を放つてゐた...
萩原朔太郎 「室生犀星に與ふ」
...何も知らずに野卑な方言などを使ふのを...
牧野信一 「熱海線私語」
...さういふ悪い名前の糸は切らなければならないのだ……野卑な楽隊の音に連れて...
牧野信一 「或る日の運動」
...無駄を誇りとするかのやうな野卑なる...
牧野信一 「小川の流れ」
...余技に親しまうとする澄んだ精進の心のない野卑な夫に...
牧野信一 「蝉」
...此歌萬葉時代に流行せる一氣呵成(かせい)の調にて少しも野卑なる處は無く字句もしまり居り候へども全體の上より見れば上三句は贅物(ぜいぶつ)に屬し候...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...見ゆる限りは櫻なりけりなどいへるも極めて拙(つたな)く野卑なり...
正岡子規 「歌よみに與ふる書」
...しかれども野卑に陥りやすきをもって野卑ならざるものをも棄(す)つるはその弁別の明なきがゆえなり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...すなわち野卑なおどけた愚作のまんなかで...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
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