...雨が激しく降る野分が吹いています...
...ボートに乗り、野分にも負けずに海を渡る...
...野分の夜、寝苦しい中窓を開け、風を感じるのが好き...
...予報によれば、今夜は野分が吹くということだ...
...雷鳴と共に野分が襲いかかったが、慌てることなく逃げ切った...
...時しも、鬱金(うこん)木綿が薄よごれて、しなびた包、おちへ来て一霜(ひとしも)くらった、大角豆(ささげ)のようなのを嬉しそうに開けて、一粒々々、根附だ、玉だ、緒〆(おじめ)だと、むかしから伝われば、道楽でためた秘蔵の小まものを並べて楽しむ処へ――それ、しも手から、しゃっぽで、袴(はかま)で、代書代言伊作氏が縁台の端へ顕(あら)われるのを見ると、そりゃ、そりゃ矢藤さんがおいでになったと、慌(あわただ)しく鬱金木綿を臍(へそ)でかくす……他なし、書画骨董の大方を、野分のごとく、この長男に吹さらわれて、わずかに痩莢(やせざや)の豆ばかりここに残った所以(ゆえん)である...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...咲乱れし千草不残にも野分にふき乱され「つらぬき留めぬ玉ぞちりける」...
上田敏 「月」
...我が息を吹きとゞめたる野分(のわき)かな飛んで来る物恐ろしき野分かな十月三日 二百二十日会...
高浜虚子 「五百五十句」
...野分(のわき)というものなのかしら...
太宰治 「パンドラの匣」
...・花のこぼるゝ萩をおこしてやる・野分あしたどこかで家を建てる音・からりと晴れて韮の花にもてふてふ・歩けるだけ歩く水音の遠く近く・燃えつくしたるこゝろさびしく曼珠沙華九月廿六日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...野分、裏藪が騒々しい...
種田山頭火 「其中日記」
...夜中の風は多少野分めいてゐた...
種田山頭火 「其中日記」
...黒い日を海に吹き落そうとする野分(のわき)の中に...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...野分(のわき)と共に渡ったと思ったら...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...吹きとばす石もあさまの野分かなさういふ古人の句さながらに...
堀辰雄 「ふるさとびと」
...その証拠には、今では野分とか、吹雪とか、しまきとかいうものの中に私たち多少、風流気のある奴は、一種いうべからざる趣をさえかんじつつあるからである...
正岡容 「寄席行燈」
...九七五調の句独鈷(どくこ)鎌首水かけ論の蛙かな売卜先生木の下闇の訪はれ顔花散り月落ちて文こゝにあら有難や立ち去る事一里眉毛(びまう)に秋の峰寒し門前の老婆子薪(たきぎ)貪(むさぼ)る野分かな夜桃林を出でゝ暁嵯峨(さが)の桜人五八五調...
正岡子規 「俳人蕪村」
...二本(ふたもと)の梅に遅速を愛すかな麓なる我蕎麦存す野分かなの「愛すかな」「存す野分」の連続のごとき夏山や京尽し飛ぶ鷺一つの「京尽し飛ぶ」の連続のごとき蘭(らん)夕(ゆふべ)狐のくれし奇楠(きゃら)を(たか)んの「蘭夕」の連続のごとき漢文より来たりしものは従来の国語になき句法を用いたり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...こは前日の野分(のわき)に倒れたるを母などが引き起して仮初(かりそめ)の板を置きそれで支へるつもりなり...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
......
山川登美子・増田雅子・與謝野晶子 「恋衣」
...すべての声が消えて)(再び「寮歌」)歌(第二番の歌詞)豊かにみのれる石狩の野に雁の音はるばる沈みて行けば羊群声なく牧舎にかえり手箱のいただきたそがれこめぬ雄々しくそびゆるエルムの梢打振る野分に破壊の葉音のさやめく甍に久遠の光おごそかに...
三好十郎 「樹氷」
...紫の女王の美は昔の野分(のわき)の夕べよりもさらに加わっているに違いないと思うと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...野にはもう北国の荒い野分(のわき)が吹きはじまって...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
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