...殊にも醜悪な魯鈍なものに対しては容赦が無い...
太宰治 「お伽草紙」
...自分の醜悪な過去を私にみせてくれたのは...
田中英光 「野狐」
...御牧自身は妙子についてどんな醜悪な事実があっても意に介しないであろうけれども...
谷崎潤一郎 「細雪」
...脚下に蹈まれて喘(あえ)いでいる醜悪な鬼の方も亦或る場合に於ける浅ましい方面の公を暗示するようでもある...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...連日にわたってこの醜悪なる有閑階級の罪状を摘発すべしという予告したありますのんで...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...解剖上の醜悪なものにはいかに慣れている博士さえも身顫(みぶる)いを禁じ得ずに...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「秘密の庭」
...むしろ生まれつき醜悪な心情の持主でさえあったが...
徳田秋声 「縮図」
...何かしらひどく醜悪な感じだった...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...これなどはさらに醜悪なことです...
トルストイ 米川正夫訳 「クロイツェル・ソナタ」
...押えていた醜悪なものだけが...
直木三十五 「南国太平記」
...辰子の目には父の白井が譬へられない程醜悪なものに考へられて来る...
永井荷風 「来訪者」
...お銀様自身が吹聴する容貌の醜悪なる所以(ゆえん)を...
中里介山 「大菩薩峠」
...我が醜悪な今の外形を厭(いと)わず...
中島敦 「山月記」
...それ以来愚劣な人生と醜悪な現実を友として過して来た...
北條民雄 「年頭雑感」
...こんな腐つた、醜悪な、絶えず膿の悪臭が漂つてゐる世界など描きたくはない...
北條民雄 「柊の垣のうちから」
...取り散らかつた蒲団が醜悪な感じがしたので...
牧野信一 「痴想」
...近作二三醜悪なれども近況を申あぐるためうつさせ候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...醜悪な自己の姿がたまらないほど恥かしくなったのだという...
吉川英治 「親鸞」
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