...私は酔心地どころではなかった...
太宰治 「断崖の錯覚」
...途上で少しばかり飲んだ、最初は酒、そして焼酎、最後にまた酒! 何といつても酒がうまい、酔心地がよい、焼酎はうまくない、うまくない焼酎を飲むのは経済的だからだ、酔ひたいからだ、同じ貨幣で、酒はうまいけれど焼酎は酔へるからだ、飲むことが味ふことであるのは理想だ、飲むうちに味ふほどに酔うてくるなら申分ないけれど、それは私の現状が許さない、だから、好きでもない焼酎を飲む、眼をつぶつて、息もしないやうにして、ぐつと呻るのである、みじめだとは自分でも知つてゐる、此辺の消息は酒飲みの酒好きでないと解らない、酒を飲むのに目的意識があつては嘘だが、目的意識がなくならないから焼酎を飲むのである...
種田山頭火 「行乞記」
...酒の酔心地、これこそ冷暖自知の境...
種田山頭火 「行乞記」
...籐椅子の酔心地・感じやすくて風の蘭竹のおちつかない旅関門海峡・灯に灯が...
種田山頭火 「行乞記」
...酔心地のこまやかさ...
種田山頭火 「其中日記」
...農学校に樹明君を訪ねて話してゐるとき、思ひがけなく周二君来訪、三人いつしよに帰庵して会飲、そして珍客芝川君を迎へた、意外であつたゞけ会合のよろこびは二乗された、千福の酔心地、広島牡蠣のうまさ、そのうまさも二重だつた...
種田山頭火 「其中日記」
...また一苦労こしらへた! 酔心地はよかつたが...
種田山頭火 「其中日記」
...ほどよい酔心地、銭を少々借ることが出来たのである...
種田山頭火 「其中日記」
...酔心地をがらがら揺られてると...
豊島与志雄 「狐火」
...酔心地のものうい足を引きずって...
豊島与志雄 「地水火風空」
...酔心地がよかった...
豊島与志雄 「不肖の兄」
...彼はぼんやりした酔心地で家に帰って来た...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...一同は既に十分の酔心地(えいごこち)...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...やや呑み過ごした酔心地(えいごこち)を得(え)もいわれぬ川風に吹払わせていた二人の門人種員(たねかず)と仙果(せんか)は覚えず羨望(せんぼう)の眼(まなこ)を見張って...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...やっぱり酔心地に相違ない...
中里介山 「大菩薩峠」
...歩くも何か酔心地...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...俺は大分醒めた酔心地にぶらぶらと墓地をたどつた...
村山槐多 「悪魔の舌」
...二人はもうどうしていいか分らぬほどな情炎に包まれて伽羅油(きゃらゆ)のとろ火で煮られたかのような酔心地になりかけていた...
吉川英治 「剣難女難」
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