...かんてらや師走の宿に寐つかれず酒を呼んで酔はず明けゝり今朝の春甘からぬ屠蘇(とそ)や旅なる酔心地(ゑひごゝち)うき除夜を壁に向へば影法師御大喪中とある故此春を御慶も言はで雪多し一年の計は元日にありと申せば随分正月より御出精...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...私は酔心地どころではなかった...
太宰治 「断崖の錯覚」
...途上で少しばかり飲んだ、最初は酒、そして焼酎、最後にまた酒! 何といつても酒がうまい、酔心地がよい、焼酎はうまくない、うまくない焼酎を飲むのは経済的だからだ、酔ひたいからだ、同じ貨幣で、酒はうまいけれど焼酎は酔へるからだ、飲むことが味ふことであるのは理想だ、飲むうちに味ふほどに酔うてくるなら申分ないけれど、それは私の現状が許さない、だから、好きでもない焼酎を飲む、眼をつぶつて、息もしないやうにして、ぐつと呻るのである、みじめだとは自分でも知つてゐる、此辺の消息は酒飲みの酒好きでないと解らない、酒を飲むのに目的意識があつては嘘だが、目的意識がなくならないから焼酎を飲むのである...
種田山頭火 「行乞記」
...籐椅子の酔心地・感じやすくて風の蘭竹のおちつかない旅関門海峡・灯に灯が...
種田山頭火 「行乞記」
...酔心地のこまやかさ...
種田山頭火 「其中日記」
...農学校に樹明君を訪ねて話してゐるとき、思ひがけなく周二君来訪、三人いつしよに帰庵して会飲、そして珍客芝川君を迎へた、意外であつたゞけ会合のよろこびは二乗された、千福の酔心地、広島牡蠣のうまさ、そのうまさも二重だつた...
種田山頭火 「其中日記」
...酔心地をがらがら揺られてると...
豊島与志雄 「狐火」
...酔心地のものうい足を引きずって...
豊島与志雄 「地水火風空」
...彼はぼんやりした酔心地で家に帰って来た...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...一同は既に十分の酔心地(えいごこち)...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...やや呑み過ごした酔心地(えいごこち)を得(え)もいわれぬ川風に吹払わせていた二人の門人種員(たねかず)と仙果(せんか)は覚えず羨望(せんぼう)の眼(まなこ)を見張って...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...ツイ先刻(さっき)までボッと酔心地だったことはおくびにも出しません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...歩くも何か酔心地...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...右のように支那人は葡萄すなわち蒲桃を酔心地よく酒に酔う意味だと言っている...
牧野富太郎 「植物記」
...かなり酔心地で席を立つと...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...俺は大分醒めた酔心地にぶらぶらと墓地をたどつた...
村山槐多 「悪魔の舌」
...二人はもうどうしていいか分らぬほどな情炎に包まれて伽羅油(きゃらゆ)のとろ火で煮られたかのような酔心地になりかけていた...
吉川英治 「剣難女難」
...彼らはうっとりと酔心地になるようなことはない...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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