...遠いタダの知人には頗(すこぶ)る慇懃(いんぎん)な自筆の長手紙(ながてがみ)を配るという処に沼南の政治家的面目が仄見(ほのみ)える心地がする...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...途中の商店に眼を配る暇がない...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...私は木が可愛くて/\伐らうと思ひませんからまだ古い家に居ります云々』仙臺地方の農家では『お刈り上げ』といつて舊暦十月一日收穫祝ひに餅をついて地主や知人に配る行事がある...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...にわかに足元に気を配るようになり...
徳田秋声 「縮図」
...「喜助」半兵衛が、こう叫びつつ、後方へ、横へ眼を配ると、右側の立木の間から、走ってきた士が、半兵衛へ刀を向けて、睨みながら、じりじり迫ったので、半兵衛は、槍に心を取られたまま、馬から飛降りて、刀を抜くと、槍持に「槍を、早く」と、叫びつつ、迫る士に、刀を構えた...
直木三十五 「寛永武道鑑」
...障子の外に立って中の動静(ようす)に気を配るようでしたが...
中里介山 「大菩薩峠」
...少女は又其方へ目を配る...
長塚節 「旅の日記」
...それを集めて困窮している人たちに配るので...
中谷宇吉郎 「捨てる文化」
...しかも此(この)寒空に配るというのは...
野村胡堂 「青い眼鏡」
...そっと四方(あたり)に眼を配ると...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...時折猫のように廊下へ気を配る様子などは...
橋本五郎 「地図にない街」
...五日放送の台本を配る...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...その宣伝パンフレットを場内で配ることにしてほしいなどゝ言ふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...針の代えに心を配るのは銀三であった...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...東国ではワザットはもと物を配るときの辞令の語であった...
柳田国男 「こども風土記」
...亥の子餅の重箱(じゅうばこ)を配る...
柳田国男 「年中行事覚書」
...このごろのならいとてこの二人が歩行(ある)く内にもあたりへ心を配る様子はなかなか泰平の世に生まれた人に想像されないほどであッて...
山田美妙 「武蔵野」
...それを配るのは、私の知っている村の青年にやらせますから」「いや、手前は、生来悪文の質(たち)ですから、ひとつそれは、劉長兄に起草していただこう」「いいや、あなたは多年塾を持って、子弟を教育していたから、そういう子弟の気持を打つことは、よくお心得のはずだ...
吉川英治 「三国志」
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