...しかし僕の目を遮るものはやはり深い霧ばかりです...
芥川龍之介 「河童」
...この光、ただに身に添うばかりでなく、土に砕け、宙に飛んで、翠(みどり)の蝶(ちよう)の舞うばかり、目に遮るものは、臼(うす)も、桶(おけ)も、皆これ青貝摺(あおがいずり)の器(うつわ)に斉(ひとし)い...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...實に目を遮るものが無い...
田中正造 「公益に有害の鑛業を停止せざる儀に付質問書」
...遮るように親分が大声を出した...
谷譲次 「踊る地平線」
...彼女は書類を載せた机を私から遮るような元の姿勢で立っていた...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...寒気を遮るために...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...細君も腹立たしげに己の詞を遮るやうに饒舌(しやべ)り出した...
ドストエウスキー Fyodor Mikhailovich Dostoevski 森林太郎訳 「鰐」
...もはや眼を遮るものは何もなくなり...
豊島与志雄 「バラック居住者への言葉」
...日の光を遮る雲のようなもの...
豊島与志雄 「文学の曇天」
...日光を遮るために布が覆うてある...
長塚節 「旅の日記」
...見るかぎりなに一つ眼を遮るものとてもない(びょう)々たる海の面に...
久生十蘭 「ノア」
...そしてそれを遮るようにと天に祈りを上げなかつたので――掌(て)を合せもしなければ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...これは長時間太陽光線を遮るので...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...ここからは衣川の流れも北方の山々も何の遮るものもなく一眸に見える...
村山俊太郎 「平泉紀行」
...その上に光線を遮るために使う枠を逆さにして載せあり...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森鴎外訳 「家常茶飯」
...矢代は遮るように...
横光利一 「旅愁」
...一望遮るもののない平原のその明るさに囲まれた中で...
横光利一 「旅愁」
...眼界を遮る蒼白い波頂となつて終つてゐるやうに見えた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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