...いのちの小鼓(こつづみ)の鳴の遠音(とほね)とひびき寄す...
石川啄木 「詩」
...わたしは遠音(とおね)に囃(はやし)を聞いて...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...霞むやうな銀の鈴の遠音(とほね)の断続...
大手拓次 「「香水の表情」に就いて」
...しんとした匂(にお)やかな空気のなかに消えてゆくピアノの遠音だとか……いや...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...折々人の通り過ぎるどよみが遠音にひびいてくる...
近松秋江 「黒髪」
...たとえば「鉄砲の遠音(とおね)に曇る卯月(うづき)かな」というのがある...
寺田寅彦 「映画時代」
...その他『鉄砲の遠音』の巻に「なまぬる一つ」と「碁いさかい二人」と続くような例ははなはだ多い...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...あの太鼓の遠音や...
豊島与志雄 「田園の幻」
...その哀号を遠音に聞きながら...
中里介山 「大菩薩峠」
...どうやら遠音(とおね)におさな児の泣く音がする...
中里介山 「大菩薩峠」
...しかも、その静寂の奥に、なお声あり! はるか早川の、早瀬のむせびか、峰々にからむ風の唸りか、はた冴えまさる氷雪のきしり、あるいは樹々の身じろぎ、鳥獣の寝息……いやいやそれよりも、つつましい寒山の静寂、自身のうそぶきとも、ただしは人の心の……何か知らず、鋭い針めいて、しんしん、きんきん、と乱れひらめく、幽(か)そけくも底力ある、あやしい調べが、忍びやかに脳底に刺し徹(とお)る……声やあらぬ雪つむ山の夜半の声時に、風が持てくる、太皷の遠音...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...遠音の祭を背景に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...祭太鼓の遠音(とほね)を縫つて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...貝は遠音(とほね)にこたふ...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...退却のラッパの遠音が聞こえる...
藤野古白 藤井英男訳 「戦争」
...三味線の音も遥かの遠音(とおね)を聞けばこそ面白けれ...
正岡子規 「病牀六尺」
...小鳥の遠音もまじってくる...
村山俊太郎 「子どもの世界」
...その美しい遠音にうっとりと聞きほれたものだ...
山本笑月 「明治世相百話」
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