...斯(かか)る重大のことを惹き起せしも、遠因は、「ひよつとこ鈎」に在りと想へば早く歯科医に見せざりし、鯰の口中こそ重ね重ねの恨みなれ...
石井研堂 「釣好隠居の懺悔」
...それ以外に幾多の遠因も近因もあろうが...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...まあそれが遠因になってはいるのですが...
梅崎春生 「凡人凡語」
...妙子の変死がその最も重大なる遠因であって...
江戸川乱歩 「恐ろしき錯誤」
...また畠山の六郎重保さまは京の宿舎の御亭主たる平賀の右衛門朝雅さまとささいの事から大喧嘩をはじめてそれが畠山御一族滅亡の遠因になつたなどの騒ぎもございましたが...
太宰治 「右大臣実朝」
...或いはその御大業の遠因の一つに数へられてしかるべきものかも知れない...
太宰治 「津軽」
...哲学のこういう道徳化にその遠因を有っているようである...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...夫が表現報道現象だという点に対する注意の不足に遠因を持つと云ってもいいだろう...
戸坂潤 「思想としての文学」
...こんどの日本の主権者の変革は、その遠因は、大戦争の大敗という暴力的な事実にあるけれども、その近因は、平和に、適法に憲法を定め、それによつて天皇の権力は、人民に移つたのである...
蜷川新 「天皇」
...私に捕物小説を書かせる遠因になったというのであれば...
野村胡堂 「胡堂百話」
...それがまるで創作のやうによくこなれてゐて他人の追随を許さないのも遠因はここにあるのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...目下まさに劇痛を発したる場合にのぞみてはその遠因を求めてこれを問うにいとまあらず...
福沢諭吉 「政事と教育と分離すべし」
...そして彼の失敗の遠因は...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「盗まれた手紙」
...一ツ橋高等女学校に於けるかの行為も大分その遠因を成しているらしく思われる...
牧野富太郎 「植物記」
...技巧の超過より来る醜さは高価なものを作るところに遠因すると云えないであろうか...
柳宗悦 「工藝の道」
...第一幕……探偵劇王殺害事件の遠因――兇賊生蕃小僧と等々力久蔵親分活躍の場面...
夢野久作 「二重心臓」
...昭和七年の日支事変の遠因もここから端(たん)を発している部分が多い...
横光利一 「上海」
...この二統(とう)のもつれが遠因をなしていた...
吉川英治 「私本太平記」
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