...大通りからは遥かに遠い場所であるのに...
岩本素白 「こがらし」
...……」明は自分の下宿に帰ると、咳の発作を怖れてすぐには服を脱ぎ換えようともしないで、西を向いた窓に腰かけた儘、事によると菜穂子さんは何処かずっと此の西の方にある、遠い場所で、自分なんぞの思い設けないような不為合(ふしあわ)せな暮らし方でもしているのではないかと考えながら、生れて初めてそちらへ目をやるように、夕焼けした空や黄ばんだ木々の梢などを眺めていた...
堀辰雄 「菜穂子」
...遠い場所の時でも普請場へ出かけて井戸掘りの光景を見るのが好きだつた...
牧野信一 「毒気」
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