...道子が、取ったばかりの手拭を、引摺(ひきず)るように膝にかけて、振(ふり)を繕う遑(いとま)もなく、押並んで跪(ひざまず)いた時、早瀬は退(すさ)って向き直って、「線香なんぞ買って――それから、種々(いろいろ)要るものを...
泉鏡花 「婦系図」
...あわやと抱(いだ)き留めた惣助は刎倒(はねたお)されて転んだけれども、渠(かれ)危(あやう)し、と一目見て、道子と菅子が、身を蔽(おお)いに、背(せな)より、胸より、ひしと主税を庇(かば)ったので、英臣は、面(おもて)を背けて嘆息し、たちまち狙を外らすや否や、大夫人を射て、倒して、硝薬(しょうやく)の煙とともに、蝕する日の面(おもて)を仰ぎつつ、この傲岸(ごうがん)なる統領は、自からその脳を貫いた...
泉鏡花 「婦系図」
...道子夫人の羽織のうえの泥を吸いとりはじめた...
海野十三 「爆薬の花籠」
...房枝の大好きな彦田博士の夫人道子から贈られたものであった...
海野十三 「爆薬の花籠」
...道子夫人のさがしている棄てられた愛児のように思えてくるのだった...
海野十三 「爆薬の花籠」
...道子(みちこ)は唯(たゞ)何(なん)といふ訳(わけ)もなく吾妻橋(あづまばし)のたもとが好(よ)さゝうな気(き)のするまゝ...
永井壮吉 「吾妻橋」
...阿里道子のえり子のやうな無邪氣な口調(くてう)など...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...道子が家庭を常に冷い牢獄のように考えて居り...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...之等の大勢の男の中に在って道子は少しも困惑のようすはなく...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...此の言葉を何ときいたか――道子は俺の方を見て一寸微笑んで見せた...
浜尾四郎 「彼が殺したか」
...妻道子二十八歳」龍之介はすらすらと一息にレジスター〔(register =記名する)〕して...
平林初之輔 「謎の女」
...道子と四条の鳴瀬へ行ってみると...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...道子とニューグランドで夕食...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...ハネて母上・道子同道帰宅...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...それから母上・道子と落ち合ひ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...彼は道子の珍らしくも浮べた不安の色を見ると...
牧野信一 「爪」
...」道子が当惑の色を現した...
牧野信一 「爪」
...――あんな事を云つてゐやがる癖に、と彼は、道子が、普段のにはこれがいゝだらう、あれがいゝだらうなどゝ、財布を一つ買ふのにも実用と虚栄とを目安にした問をうるさく掛けるので、……道子の一挙動までに悉く憤懣を感じた...
牧野信一 「凸面鏡」
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