...呼ばゝりて過ぎ行く夢のいましめもあだなりけりな...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...いでたちの旅路の糧(かて)を手握(たにぎ)りて、歩(あゆみ)もいとゞ速(はや)まさる愛の一念ましぐらに、急げ、とく行け、呼ばはりて、過ぎ行く夢は、夢は、また帰り来(こ)なくに、進めよ、走(は)せよ、物陰に、畏(おそれ)をなすか、深淵(しんえん)に、あな、急げ……あゝ遅れたり...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...舞扇の音を立てて開く音なども春の夜の過ぎ行く時を刻んで...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...その物は夜半にジャーンと鳴り響きて海上を過ぎ行くなりけり...
寺田寅彦 「怪異考」
...アレースを戰場の中より救ひ混亂の列を過ぎ行く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...実に月日の過ぎ行くのは早いもので御座いまして...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...怪物が過ぎ行くのを恐怖に震えながら眼前に見た...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...冬が來れば暖爐の傍(かたはら)から暗い日の過ぎ行くのを悲し氣に見送るのであらう...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...過ぎ行く舟の奥床(おくゆか)しくも垂込(たれこ)めた簾の内をば窺見(うかがいみ)ようと首を伸(のば)したが...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...朴の木のもとを洗つて作並の浴槽の側を過ぎ行く水はこゝから見える密樹の根からしぼれ出る雫の聚りである...
長塚節 「旅の日記」
...窓の外に死のヴァイオリンを弾(たん)じつつ過ぎ行くを見る...
ホフマンスタアル Hugo von Hofmannsthal 森鴎外訳 「痴人と死と」
...よらで過ぎ行くところ...
正岡子規 「俳人蕪村」
...そうして過ぎ行く月日の間(うち)に...
松崎天民 「友人一家の死」
...「いとどしく過ぎ行く方の恋しきにうらやましくも帰る波かな」これも源氏の口に上った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...たゞ過ぎ行く風の如く...
夢野久作 「白くれない」
...万灯の列の中を過ぎ行くように明るい...
横光利一 「夜の靴」
...あらゆる過ぎ行くものの姿に底知れぬ悲哀を感ぜしめる...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
...それによって我々は過ぎ行くものの間に過ぎ行くものを通じて...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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