...狂人のにほひただよふ長廊下まなこみひらき我はあゆめるすき透り低く燃えたる浜の火にはだか童子は潮にぬれて来(く)のみならずかう云ふ画を描いた画家自身の姿さへ写されてゐる...
芥川龍之介 「僻見」
...実際に於て過去は私の中に滲(し)み透り...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...さみどりの水はわが松板の船に浸み透りて...
アルテュル・ランボオ 上田敏訳 「醉ひどれ船」
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中島敦 「河馬」
...雪白の冷たい石龕(せきがん)の内に急に灯がともされたように、耳朶は見る見る上気して、紅玉色に透り、漆黒(しっこく)の眸子(ぼうし)は妖しい潤いに光って来る...
中島敦 「妖氛録」
...せめてはすき透りたる壜の水のあたらしきを欲すといさゝかも濁れる水をかへさせて冷たからむと手も觸れて見しいつの間にか...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...蚕のようにすき透り...
久生十蘭 「蝶の絵」
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三好達治 「故郷の花」
...シンとした西洋室(ま)の中にハッキリと沁(し)み透り初めたので皆真青になって顔を見合わせた...
夢野久作 「二重心臓」
...誇りかに閃めき透り初めた...
夢野久作 「二重心臓」
...母にはもう言葉など一切無用のものに見えて胸も透り...
横光利一 「旅愁」
...今は人の心の水晶宮も粛として澄み透り...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...×秋の日ざしに照り透り...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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