...その貫徹す眼で人間の魂の底までも見透すやうな氣がした...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...眼の前に圓く擴がつてゐた海は段々圓周をせばめて遂には眼前一尺の先きも見透す事が出來なくなつた...
有島武郎 「潮霧」
...近くでは、日の黄を交えて草緑なのが、遠く見透すと、印度藍を濃く一刷毛横になすった様な海の色で、それ丈けを引き放したら、寒い感じを起すにちがいないのが、堪え切れぬ程暑く思える...
有島武郎 「かんかん虫」
...樹脂をらくに透すが...
海野十三 「少年探偵長」
...何物をも見透す鷲(わし)のように鋭い目には...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...犯行の本当の現場を見透す事が出来るのです...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...自分の胸まで射透すかと思はれた...
スティーヴンスン 佐藤緑葉訳 「若い僧侶の話」
...而も夫々の領域の世界像世界観や更に手法にまでも浸透するようなクリティシズムは...
戸坂潤 「クリティシズムと認識論との関係」
...限られた面で見透すことは僭越だ...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...冷氣骨に透す可し...
長塚節 「草津行」
...太陽紫外線は案外よく霧を透すので...
中谷宇吉郎 「農業物理学夜話」
...三天に誓へば、岩をも透す、聞くや三尺、鞘走る音...
夏目漱石 「從軍行」
...樹の高からぬのと秋の日の射透すので...
夏目漱石 「幻影の盾」
...人の心を見透す賢さを持つたお由良は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...閉鎖階級に浸透する知的な特派要員が要請されていた...
久生十蘭 「蝶の絵」
...苔むした根がたからずっと数多の幹々を見透す感じ...
宮本百合子 「九州の東海岸」
...おのずから流れるように或ものが自分に浸透することを考えると...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そうすれば節穴が明るい記帳場のひかりを透すであろうと思って...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
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