...紺青の空が漏れ透くかと...
泉鏡花 「悪獣篇」
...蒼空(あおぞら)の透くごとく...
泉鏡花 「悪獣篇」
...白脛(しらはぎ)も水に透くよう...
泉鏡花 「悪獣篇」
...月の桂(かつら)の透くやうに...
泉鏡花 「印度更紗」
...地(じ)の透く髪を一筋梳(すき)に整然(きちん)と櫛を入れて...
泉鏡花 「婦系図」
...枕から透く、その細う捩(よ)れた背(せな)へ、小芳が、密(そっ)と手を入れて、上へ抱起すようにして、「切なくはないかい、お蔦さん、起きられるかい、お前さん、無理をしては不可(いけな)いよ...
泉鏡花 「婦系図」
...それをやつてゐるもの等の卑劣な熱心にさもしい根性が見え透くやうにも思はれる...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...乱雲の間から北岳の一角を見て胸の透くのを覚えた...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...どっかへ行ってしまった」「もうどっかへ嫁(かた)づいているの?……柳沢さんそんなことをいっていたよ」それを聴いて私はいよいよ柳沢が蔭(かげ)でお宮にいろんなことをいっているのが見え透くように思われた...
近松秋江 「うつり香」
...読んでおのずから胸の透くような箇所があれば...
寺田寅彦 「科学と文学」
...恁(か)う最う少し胸の透く樣な文句を利(き)いた者だぜ』痛罵しえて意氣昂然たり...
萩原朔太郎 「二十三夜」
...その人たちの眼は霧のなかに透く星のようだった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「最後の晩餐」
...人の思想の長く発達せざりし有様も見え透く心地す...
正岡子規 「俳人蕪村」
...その底の底に悪魔らしい明智と胆力に対する確信の誇りが浮き上っているのがわけもなく見え透くのであります...
夢野久作 「鼻の表現」
...僕の様な癇癪持(かんしやくもち)には真(まこと)に便利なそして安価で胸の透く遊戯(あそび)だと思つた...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...一夜あけると、大蔵の邸は、花嫁の輿の道すじから、門前門外、すべて敷砂(しきすな)され、新郎新婦の起居する一殿の欄下(らんか)を流れる小川の朽葉(くちば)まで、底の透くほど、きれいに清掃されていた...
吉川英治 「私本太平記」
...なるほど地肌も透くばかりとなっている...
吉川英治 「私本太平記」
...」言ひながら、私は大きな聲を出して笑つた、胸の透く樣な、眞實に何年ぶりかに笑ふ樣な氣持をしながら...
若山牧水 「熊野奈智山」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??