...なお決して世を離れるような退嬰(たいえい)的な態度をとらしめるに至らなかった所以(ゆえん)はここにあると私は思う...
石原純 「左千夫先生への追憶」
...私には少しも退嬰(たいえい)的なものとは考えられない...
太宰治 「惜別」
...何事にも退嬰(たいえい)的な本家が...
谷崎潤一郎 「細雪」
...この甲型の人の目から見ると乙型の人間は消極的退嬰的(たいえいてき)な利己主義者に見える...
寺田寅彦 「蒸発皿」
...退嬰的(たいえいてき)な無常観への逃避でもなければ...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...保守退嬰・因循姑息は進取積極・勇邁果敢・等々(其の他一ダースのそうしたもの)による気魄の前で...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...寧ろ退嬰消極悉く政友会の党是に反するこの重臣ブロックこそ排撃されるべきだ...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...我国家民族の進展を阻止せんとする退嬰の見解であって...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...併し互いに完全に食い違ったこの退嬰主義とこの進展主義とは...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...退嬰(たいえい)と称するが如き消極的処世の道を教えた...
永井荷風 「西瓜」
...回顧的だとか退嬰(たいえい)的だとかいわれるが...
野村胡堂 「平次放談」
...我邦の現時は吾人をして寸時も放漫退嬰苟且偸安(こうしょとうあん)を許さざるなり...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...老人めく因循姑息な退嬰気分は一切放擲して...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...それが又彼等の伝統による情緒性へよび戻して或る意味では退嬰にも近づくのですが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...退嬰(たいえい)外交を続けて来ました事か...
夢野久作 「暗黒公使」
...退嬰策(たいえいさく)になってゆくのは是非もなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...そんな退嬰的だから...
吉川英治 「随筆 新平家」
...かのぬめぬめとした滑らかな床と人を小馬鹿にするような退嬰的猿真似で置換された壁面彫刻を持つ冒的なトンネルを全速力で走り抜けてさえいたら――我々が見てしまったあるものを目にする前に...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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