...さうして俺は偉大だぞと云ふ御題目の百萬遍を繰返すことによつて自己を偉大にし得ると妄信してゐる...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...声のない挨拶には誰も口へ出して会釈を返す機を得なかったが...
泉鏡花 「遺稿」
...きょう私は最初にその花を教えてくれたひとに向って愚痴を繰返すことを情ない慰さめとして持っている...
立原道造 「夏秋表」
...格別信任を取り返すような働きをせずにしまったことを思えば...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...じっと見返すと、喜美子も私の方をじっと見ていたが、ふいに、涙をはらはらとこぼす...
豊島与志雄 「白木蓮」
...これをもとの麦束に返す方法を教えてくれ...
トルストイ Tolstoi 菊池寛訳 「イワンの馬鹿」
...そのかたきを取返すのだといって...
中里介山 「大菩薩峠」
...このまま引返すわけにはゆかない...
中里介山 「大菩薩峠」
...それだから東風(こち)を音(おん)で読むと僕がせっかくの苦心を人が買ってくれないといって不平を云うのです」「こりゃなるほど変ってる」と迷亭先生は図に乗って腹の底から雲井を鼻の孔(あな)まで吐き返す...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...もう一度ビルディングに引返すことになったのです...
野村胡堂 「九つの鍵」
...女を助けたところで若様を返すとは言やしません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――帰ったら親分に借りて返すとして...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...暫らく樣子を見るが宜い」「へエ」「それから百兩の金は水右衞門さんに返すのだ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長上衣(スヰートカ)をさつそく取り返すつてえ訳にやあ行かなかつただ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...一寸やって引返す(10)...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...返す返すも惜しい...
堀辰雄 「辻野久憲君」
...福なんかいらないというて追い返すような人相とも見える...
正岡子規 「熊手と提灯」
...……いや不知哉丸母子とたしかにいわれたのか」「てまえも耳を疑い、つい訊き返すと、にがりきったおん眉で再度、そうだ……とばかり、きっぱりと」「はて、兄者(あにじゃ)はどうかしたわえ...
吉川英治 「私本太平記」
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