...あんまり見慣れないもので、第一、食べようからしてわからないから、遠慮をしていると番兵さんは、耳かきのような杓子(しゃくし)を取添えて、「これは、チュガ公の母親がこしらえた白牛酪(はくぎゅうらく)だよ、薬物だから、少しお食べ」すすめられるままに、その匙(さじ)のような杓子ですくい取って、少し食べてみたが、甘くも、辛くもない、薬物だというから、苦くもあるかというにそうでもない、妙に脂(あぶら)っこい、舌ざわりの和(やわ)らかな、口へ入れているうちに溶けてしまいそうなものだから、「何だい、番兵さん、これは、味もなにも無いじゃないか」「薬物だからね」「何の薬になるの」「何の薬ってお前、白牛酪なんてのが、滅多(めった)に口へ入るものじゃないよ」と、そこで番兵さんが、茂太郎に、白牛酪の講釈をして聞かせました...
中里介山 「大菩薩峠」
...(後に小壁の多くは辛く難をまぬがれたと聞いて...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...一度辛く当ったお静へ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...なんて解らない唐変木だろう」辛くも八五郎の手を逃れたお喜多は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...苦痛に痙攣する身体を辛くも椅子の腕木に支え...
野村胡堂 「法悦クラブ」
...辛くて一緒にはおられません...
林芙美子 「新版 放浪記」
...苦しくも辛くも思われなかったでありましょう...
久生十蘭 「手紙」
...義太夫にのつて辛くも揚幕へ逃げ込んだので...
松本幸四郎 「大森彦七と名和長年」
...朝眼がさめた時から夜寝るまで辛く無え時なぞ一刻もあらすか...
三好十郎 「おりき」
...そんなことは楽な・辛くも何ともない・苦行である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...下賤でなく・うるさくなく・辛くないであろうか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いかに世間の生活が辛くきびしいか...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...孝之助は辛くも立った...
山本周五郎 「竹柏記」
...犬共は曳くのが辛くなることであつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...辛くも文化の腐爛を救つてゐるものは...
吉川英治 「折々の記」
...帝の御車は辛くも十数里を奔(はし)って来られたが...
吉川英治 「三国志」
...辛くも信長の陣前に...
吉川英治 「新書太閤記」
...破壊口から突撃を辛くも撃退した...
和辻哲郎 「鎖国」
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