...辛うじてこれを撃退した...
石原莞爾 「戦争史大観」
...幾度(いくたび)も口を動かしつつ辛うじて答えた...
泉鏡花 「婦系図」
...生水・ENOの果実塩・亜米利加(アメリカ)産肉豆(にくずく)・芽玉菜(めたまな)だけの食養生を厳守することによって辛うじて絵具付(ペインテド)シフォンの襞(ひだ)着物を着れる程度に肥満を食いとめている...
谷譲次 「踊る地平線」
...或る所では綱が渡してあったのでそれに掴まって渡り、或る所では警戒中の自警団員が助けてくれたが、或る一箇所では何もそう云う便宜がなかったので、二人は体をぴったりと寄せ合い、お春の衝いている蝙蝠傘を力と頼んで、辛うじて渡った...
谷崎潤一郎 「細雪」
...其処に辛うじて運んで来たらしいのは昼間見たその新調の喞筒である...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...辛うじて見ることができたが...
徳田秋声 「仮装人物」
...微弱な脈搏(みゃくはく)が辛うじて通っていた...
徳田秋声 「黴」
...之に辛うじて割り込ませて貰ったことで...
戸坂潤 「社大党はファッショ化したか?」
...辛うじて生き残り得るばかりだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...辛うじて肱(ひじ)で身を起こした...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...辛うじて集ったものも充分なものでなかった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...軍配団扇みたいな葛蘿(かづら)に足をさされして息のつまりさうな深みからひとつの峰へ辛うじてぬけだした...
中勘助 「銀の匙」
...辛うじて私は立っていた...
中島敦 「光と風と夢」
...次に辛うじて聞きとれるのは...
牧野信一 「ラガド大学参観記」
...辛うじて營業を續けてゐた家でも...
正宗白鳥 「水不足」
...精神と富との避難所としての文化が辛うじて生きのびた...
宮本百合子 「木の芽だち」
...しかし……茶を下さい」又四郎は辛うじて躰(たい)を躱(かわ)すのであった...
山本周五郎 「百足ちがい」
...いずれも辛うじてその筋の許可を得たものらしく見える...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
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