...獨(ひと)り拓拔氏(たくばつし)のみならず支那塞外(しなさくぐわい)の蠻族(ばんぞく)は概(おほむ)ねその轍(てつ)を履(ふ)んでゐる...
伊東忠太 「國語尊重」
...あの途轍(とてつ)もない事件が起る様になったのだ...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...その上に荷車の通った轍(わだち)の跡が二本走っている...
オイレンベルク Herbert Eulenberg 森鴎外訳 「女の決闘」
...出掛けて見ましょう」そこで転轍器(ポイント)が切換えられると...
大阪圭吉 「気狂い機関車」
...やがては渡良瀬沿岸地方と同じ轍をふむことになる...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...どこの国でも同一轍(どういつてつ)である...
丘浅次郎 「動物の私有財産」
...深く泥濘に喰ひ込んでゐる車の轍の中にも...
田山録弥 「赤い鳥居」
...生活は三年前の旧(むかし)の轍(わだち)にかえったのである...
田山花袋 「蒲団」
...正直一轍の吝嗇漢(けちんぼ)が一度汚(けが)した墓をまた堀返しつつあるのを見かけたのであった...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...轍の幅が狭いからだ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...砲車は轍(わだち)の中に轂(こしき)の所までも没した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...潜水艦の中で酸素かイオンかの足りない空気に轍鮒(てっぷ)の苦しみを嘗(な)めるのとは大変なちがいである...
中谷宇吉郎 「地球の円い話」
...彼方の蕭条たる山の上に回想してゐる時に聞く列車の轍の音の適応性にも似た...
牧野信一 「変装綺譚」
...轍の音や、深夜に聴く時計の音に伴れて、何でも関はず歌つたり饒舌つたりしてゐると、あの音響のリズムは忽ち歌になり、言葉になり、話相手になりして自由であることを私は屡々経験するが、この巷の混然たる絶間なき響きも、憂への日には吾を憂へ、悦びの日には躍動を、勝手気儘に節づけることは自由であらう――など、私は、さもさも六ヶ敷いことでも考へてゐるかのやうな勿体振つた胸で呟きながら、何といふこともなしに、自信あり気な思ひに打たれてゐた...
牧野信一 「変装綺譚」
...葛(九・一〇〜一〇・二〇)―七倉沢(一〇・五〇〜一〇・五五)―神ノ沢吊橋(一一・五〇〜一二・〇〇)―三ノ沢吊橋(一二・三〇〜一二・四〇)―濁(一三・〇五〜一三・一五)―第五発電所(一四・〇五〜一四・一五)―湯俣取入口(一七・〇〇)七倉沢少し下の営林署合宿迄トラックの轍あり...
松濤明 「槍ガ岳」
...子供の聲やら荷馬車の轍の音やら...
水野仙子 「四十餘日」
...車の轍で平(な)らされているこの道を...
シュミットボン Willhelm Schmidt-Bonn 森鴎外訳 「鴉」
...出奔し去った五人の婿を前車の轍(てつ)としたのみではない...
山本周五郎 「長屋天一坊」
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