...轍(わだち)にかけられた蕗(ふき)の葉がどす黒く破れて泥にまみれたりしていた...
有島武郎 「親子」
...麹町(かうじまち)神田橋内(かんだばしない)の姫路藩邸(ひめぢはんてい)に於(おい)て壓死(あつし)した石本李蹊(いしもとりけい)翁(おう)の最後(さいご)は全(まつた)く同(おな)じ轍(てつ)を踏(ふ)まれたものであつた...
今村明恒 「地震の話」
...囂々(ごうごう)たる轍(わだち)の響は並木をゆすり...
海野十三 「空襲葬送曲」
...またもその轍を履(ふ)んで自らその車を覆(くつがえ)し了(おわ)った...
大隈重信 「永久平和の先決問題」
...李堂は又三藏が十風の轍を踏まなければよいがと竊に憂慮してゐたが...
高濱虚子 「俳諧師」
...・枯枝の空ふかい夕月があつた凩の火の番の唄雨のお正月の小鳥がやつてきて啼く空腹かかへて落葉ふんでゆく・枯木ぱちぱち燃える燃える誰も来ない夜は遠く転轍の音も宵月に茶の花の白さはある・三日月さん庵をあづけます一月七日寒の雨...
種田山頭火 「其中日記」
...雪解けの午後は淋し砂利を噛む荷車の轍の音(ね)遠くきこえ疲れ心地にふくみたるパイプの煙をのゝく室ぬちは冬の日うすれ描きさしのセント・セバスチアンは低くためいきす...
富永太郎 「画家の午後」
...尋常愛国者の軌轍を脱する能はず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...その轍(てつ)を踏むにきまっています...
中里介山 「大菩薩峠」
...三河町の佐吉の轍(てつ)をふまないやうに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...背に腹はかえられぬの轍(てつ)を踏んで...
林芙美子 「泣虫小僧」
...彼には途轍(とてつ)もなく美しいもののようにおもえた...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...それは途轍もない変化であった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...天ノ人ヲ生ズルハ億兆皆(みな)同一轍ニテ...
福沢諭吉訳 「アメリカ独立宣言」
...彼は路上の車の轍にも何か壓迫を感じる...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...耳の底に追ひ切れない彼の車のごろごろと鳴る轍の空音(そらね)を感ずるばかりだつた...
牧野信一 「奇友往来」
...かの国香や水守の良正や羽鳥の良兼と同じ轍を踏むだろう...
吉川英治 「平の将門」
...石へ乗せかけた轍(わだち)がぐわらっと車体を強く揺(ゆ)す振(ぶ)るのも愉快でたまらない...
吉川英治 「宮本武蔵」
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