...この軽薄な、作者を自家の職人だと心得てゐる男の口から、呼びすてにされてまでも、原稿を書いてやる必要がどこにある?――癇の昂(たか)ぶつた時々には、かう思つて腹を立てた事も、稀ではない...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...軽薄な……」「何が軽薄だ...
有島武郎 「星座」
...父が軽薄な手段をめぐらしてその非を蔽(おお)い...
有島武郎 「星座」
...けれども私の生来の軽薄な見栄坊の血が...
太宰治 「右大臣実朝」
...軽薄なる社交家たらざるを得なかった...
太宰治 「親友交歓」
...フランス人の画を見てすぐに要領を修得したような軽薄な絵を見るよりは数倍気持がいいと思う...
寺田寅彦 「二科会展覧会雑感」
...思想とか科学とかいう言葉が甚だ軽薄な使われ方をしているので...
戸坂潤 「読書法」
...これまでの軽薄な行動を悲しみまして...
豊島与志雄 「白塔の歌」
...あらゆる浮華(ふか)なもの、派手なもの、軽薄なものは、ブラームスの作品にも生活にも介在することを許さなかった...
野村胡堂 「楽聖物語」
...子供の時には軽薄な江戸ッ児風に染まって...
二葉亭四迷 「予が半生の懺悔」
...ものゝ心をつかみ得ない軽薄なる卑賤な徒であつた――そんな敗北を感じさせられた...
牧野信一 「小川の流れ」
...軽薄な者には初めから興味が持てないわけであるのにと思って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そんな軽薄なものではない...
山本周五郎 「ひとごろし」
...「本当は私がちょっとかまをかけたんですよ、すると正木重兵衛氏がみごとに口をすべらしましてね、たちまち感づかれてしまったというわけです、じつにわる気のない、愛すべき人だと思いました」「そのとおりだ」半之助はわきを見て云った、「みんなわる気のない人間だよ」「そしてみんながお互いに信頼しあっている」千之助は従兄(いとこ)の皮肉などそ知らぬ顔で、「私はほんのしばらく話しただけですが、すぐにわかりましたね、みなさんの固い純真な友情のつながり、といったものがです、じつに素朴で美しいと思いましたよ」「――――」「あれですか、みなさんはどういう関係でお知合になられたんですか、学問所ですか」「話というのはそのことか」「むろんそうじゃありませんが、ちょっと珍しかったし、この軽薄な、ごまかしだらけの世の中に、どうしてこんな友情が生れたか、ちょっと興味を唆(そそ)られたんです」「――空雷(からかみなり)かな」雷鳴の遠のいてゆく空を見やりながら、半之助は独り言のように呟いた...
山本周五郎 「山彦乙女」
...これはそんなめそめそ泣くようなそんな軽薄なもんじゃないんだ...
山本周五郎 「陽気な客」
...そんな軽薄な奴の息子にかけ換えのないお前を遣る訳に行かん...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...公安の守将たる傅士仁(ふしじん)も軽薄な才人に過ぎない...
吉川英治 「三国志」
...周馬の軽薄な唇をひるまずに睨まえて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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