...谷川の水が澄みきって落栗が明らかに転びつつ流れてゆく...
飯田蛇笏 「茸をたずねる」
...私はあわてて廊下に転び出た...
梅崎春生 「風宴」
...そこへ寝転びさえすれば...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...椅子は転び、卓子(テーブル)はいざって、その上に置いてあったらしい大きなボール紙の玩具箱は、長椅子の前の床の上にはね飛ばされ、濡れて踏みつぶされて、中から投げ出された玩具の汽車やマスコットや、大きな美しい独楽(こま)などが、同じように飛び出したキャラメルや、ボンボン、チョコレートの動物などに入れ混って散乱し、そこにも小さな主人を見失った玩具達の間の抜けたあどけなさが漂っていた...
大阪圭吉 「寒の夜晴れ」
...椅子に躓(つまず)いて転びましたが...
太宰治 「きりぎりす」
...檐下(のきした)から転び出た木臼の上と云わず...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...またよろよろと転びそうになる...
永井荷風 「雪の日」
...転んではならない袖切坂の途中で転びました...
中里介山 「大菩薩峠」
...あの仲間からユダと云はれてゐる転びばてれんだわ...
長與善郎 「青銅の基督」
...あるいは転び切支丹となって...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「かう甘く見えたつて、七転び以上なンだよ、一転びの苦労もなめた事がないくせに、一かどの苦労をしよつた気の女が多いンだから、全く呆れけえるだわ、ねえ、勘ちやんさうは思はないかい?」顔の長いバアテンダーは、桃色の紙風船をふくらましながら、「冗談云つちやアいけないよ、七転びどころか、今の世の中ア、百転びの方が多いンだぜ」「馬鹿、何によう云つてるンだい、フゝゝお神さん転ばして風船吹いてゐなよだ」お粒は興ざめた顔で鉢植の蔭から出て来ると、寝呆けたやうな女達の椅子の中へはひつて行つた...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...マンに、懐中電燈を照らしかけた中年の巡査は、おどろいた顔つきで、「こりゃあ、玉井の奥さん、どうなさったのですか」マンは微笑を浮かべて、「転びました...
火野葦平 「花と龍」
...危うく転びそうになる体を...
北條民雄 「いのちの初夜」
...跳ねては転びしながら逃げ回るであろう私達の悲惨な姿を現出させて鬱屈を晴らすに違いない...
牧野信一 「ゼーロン」
...只うんうんうなりながら床の上を転びまわるばかりでした」「お前はそれを見ていたのか」「エエ...
夢野久作 「オシャベリ姫」
...勝負庭の四角(よすみ)に立っている地鎮柱(じちんばしら)のぐるりを転(まろ)び転び逃げ廻った...
吉川英治 「私本太平記」
...ごろごろと転び落ちてしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
...それからの峠の下りを何べんも転びかけた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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