...私も傍におりましたが、二人で礁の頂上へあがって玄翁(げんのう)で破(わ)っておるうちに、どうした機(はずみ)かあれと云う間に、二人は玄翁を揮(ふ)り落すなり、転び落ちまして、あんな事になりましたが、銀六の方は、どうも生命(いのち)があぶのうございます」「どうも可哀そうな事をしたが、あれには両親があるか」「婆(ばんば)と女房と、子供が一人ございます」「田畑(でんぱた)でもあるか」「猫の額(ひたい)ぐらい菜園畑があるだけで、平生(いつも)は漁師をしておりますから」「そうか、それは可哀そうじゃ、後(あと)が立ちゆくようにしてやらんといかんが、それはまあ後の事じゃ、とにかく本人の生命を取りとめてやらんといかん」「そうでございます」「それから、一方の手を折った方は、あれは生命に異状はなかろう」「あれは、安田の柔術の先生にかかりゃ、一箇月もかからんと思います」「しかし、可哀そうじゃ、大事にしてやれ、何かの事はつごうよく取りはかろうてやる」「どうもありがとうございます」権兵衛は其の眼を港の口の方へやった...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...母が兄の家の廊下で転び...
外村繁 「日を愛しむ」
...私は紙巻煙草を口にくわえて縁側に寝転びながら...
豊島与志雄 「蝦蟇」
...どうしてこんな怪我をなさいました」「この間あるところで」「お転びになったのですか」「いいえ」「それでは戸の間へ...
中里介山 「大菩薩峠」
...――転び切支丹と言っても...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ごろりと炬燵に寝転び...
林芙美子 「浮雲」
...直吉は片肘ついて寝転び...
林芙美子 「瀑布」
...沙上に転び廻りて荷を覆(くつがえ)しすこぶる人を手古摺(てこず)らせたとある...
南方熊楠 「十二支考」
...仙太は根っ子につまずいて転びそうになったが...
矢田津世子 「凍雲」
...丸太の梃子にとりついていた三人が転びそうになった...
山本周五郎 「さぶ」
...転び落ちる土煙とともに...
吉川英治 「三国志」
...ひとりが転び込んでいた...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...そこの襖も踏み外すように転び込んで来て...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...あれなる足場から転び落ちたのでございます」「職人どもの喧嘩か」「は……」「下手人は何者じゃ...
吉川英治 「親鸞」
...転び込むようにお高が入って来た...
吉川英治 「鍋島甲斐守」
...敵(かな)わぬと思った土匪は、土塀の門へ向って逃げ出したが、そこは得物を持った村の者が犇(ひし)めいていたので、塀をこえて、外へ転び落ちた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それからの峠の下りを何べんも転びかけた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...梢から転び落ちると...
蘭郁二郎 「足の裏」
便利!手書き漢字入力検索
