...私はあわてて廊下に転び出た...
梅崎春生 「風宴」
...そこへ寝転びさえすれば...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...転び来りて其傍に横わりしと伝えらる...
高木敏雄 「比較神話学」
...私も傍におりましたが、二人で礁の頂上へあがって玄翁(げんのう)で破(わ)っておるうちに、どうした機(はずみ)かあれと云う間に、二人は玄翁を揮(ふ)り落すなり、転び落ちまして、あんな事になりましたが、銀六の方は、どうも生命(いのち)があぶのうございます」「どうも可哀そうな事をしたが、あれには両親があるか」「婆(ばんば)と女房と、子供が一人ございます」「田畑(でんぱた)でもあるか」「猫の額(ひたい)ぐらい菜園畑があるだけで、平生(いつも)は漁師をしておりますから」「そうか、それは可哀そうじゃ、後(あと)が立ちゆくようにしてやらんといかんが、それはまあ後の事じゃ、とにかく本人の生命を取りとめてやらんといかん」「そうでございます」「それから、一方の手を折った方は、あれは生命に異状はなかろう」「あれは、安田の柔術の先生にかかりゃ、一箇月もかからんと思います」「しかし、可哀そうじゃ、大事にしてやれ、何かの事はつごうよく取りはかろうてやる」「どうもありがとうございます」権兵衛は其の眼を港の口の方へやった...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...転べ! 転べ! 昔キリシタン転びというのがあったそうだが...
戸坂潤 「社会時評」
...あの仲間からユダと云はれてゐる転びばてれんだわ...
長與善郎 「青銅の基督」
...沢野忠庵と云ふ転び伴天連(ばてれん)が踏絵を発明した事も事実であり...
長與善郎 「青銅の基督」
...ステンコロリと転びました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...私と恋人は野に転び小指をつなぎ合はせて接吻したが恋人は此世ではとても食つて行けないからと私の小さい胸をぶち抜かうとした赤い火花が固いセツケンになつてしまつた私は支那料理が食ひたくなつて海上を一目散に逃げ出したズドン一散! 私の貞操は飛んぢやつた...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...「かう甘く見えたつて、七転び以上なンだよ、一転びの苦労もなめた事がないくせに、一かどの苦労をしよつた気の女が多いンだから、全く呆れけえるだわ、ねえ、勘ちやんさうは思はないかい?」顔の長いバアテンダーは、桃色の紙風船をふくらましながら、「冗談云つちやアいけないよ、七転びどころか、今の世の中ア、百転びの方が多いンだぜ」「馬鹿、何によう云つてるンだい、フゝゝお神さん転ばして風船吹いてゐなよだ」お粒は興ざめた顔で鉢植の蔭から出て来ると、寝呆けたやうな女達の椅子の中へはひつて行つた...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...海にむかって転び落ちて行く永劫の瀑布...
久生十蘭 「南極記」
...危うく転びそうになる体を...
北條民雄 「いのちの初夜」
...「人間の一心何事か成らざるべけんや、草の根を刈り石を除けるの故事ありという」こう独語を漏らすこともあった、「五風十雨、七転び八起き、艱難(かんなん)汝(なんじ)を……汝を……」そして或る夜、吾助は片手に武鑑の一冊を持ち、坐ったままで三尺程度は跳上って、あ、あ、こ、こ、という風な声を発した...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...只うんうんうなりながら床の上を転びまわるばかりでした」「お前はそれを見ていたのか」「エエ...
夢野久作 「オシャベリ姫」
...濡縁(ぬれえん)まで転び出して来てさけんだ...
吉川英治 「上杉謙信」
...団右衛門は度を失って大廊下へ転び出した...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...「ええ、こうしちゃアおられねえ!」吾を忘れて走りだすと、腰につかまっていたお獅子の乙吉が、日和(ひより)下駄を引ッくり返して、そこへ転び、ワーッと、大声で泣きだした...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...木戸の外へ転び出した...
吉川英治 「宮本武蔵」
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