...一度や二度湯につかったってなおりはしませんから……まあはいりません」古藤ははいって来た時のしかつめらしい様子に引きかえて顔色を軟(やわ)らがせられていた...
有島武郎 「或る女」
...「御免よ」と云ひながら相島は軟い雪に一足踏み込んでよけながら通つた...
有島武郎 「半日」
...小さな女の子が柔軟な泥をこねて小さな円形のものをつくっていたが...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...落着いた軟かい色と形を地上に蔽い飾る...
石川三四郎 「百姓日記」
...水を含んだ軟かい泥を掬い上げては...
魯迅 井上紅梅訳 「不周山」
...胎児と子宮壁とをつないでいる部分の軟(やわらか)い皮が腐蝕して脱落し...
海野十三 「振動魔」
...あなたの徳川時代の軟派ものの蒐集だってたいしたものだよ...
江戸川乱歩 「探偵小説このごろ」
...丸顔の線の軟らかなふわりとした顔が浮かんでゐた...
田中貢太郎 「雨夜詞」
......
坪井正五郎 「コロボックル風俗考」
...軟らかい緑の茎に紫色の隈取(くまど)りがあって美しい...
寺田寅彦 「郷土的味覚」
...細君は軟かい単衣(ひとえ)もののうえに...
徳田秋声 「爛」
...白菜はいかにも軟かさうに真白な葉裏の茎を日に曝してゐます...
永井荷風 「畦道」
...おれは月の至つて軟らかで脆いことを想像すると...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「狂人日記」
...今度は軟かで坐り心地が羽蒲団のやうだ...
ボレスラーフ、プルース 二葉亭四迷訳 「椋のミハイロ」
...これも真面目な強い方の句には誤りは少ないが軟かい方の句には誤りが多いかと思われる...
正岡子規 「病牀苦語」
...優しい、十分慰藉(なぐさめ)になるような、8895憂き事を忘れさせる、軟い、恵ある詞の代(かわり)に、過ぎ去った、総ての事の中から、善い事よりは悪い事をと、引き出して来て、今の光を打ち消すと同時に、8900ほのかに赫く未来の明(あかり)さえ、お前さん、曇らせてしまいますね...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...労働に堪えない軟弱な存在に過ぎないのです...
柳宗悦 「民藝の性質」
...幹は柔軟な芍薬のそれではあるが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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