...おたがいに取食うままにされる余裕があるのを見るのが好きだ――軟かい組織物が果肉のように平然と押しつぶされてほろぼされ――オタマジャクシがアオサギに呑みこまれ...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...」と軟化した...
太宰治 「佐渡」
...また後戻(あともど)りをして春らしい軟かみと生気とを齎(もたら)して来た桜の枝が...
徳田秋声 「爛」
...確に軟(やわ)らかなものゝ手答(てごたえ)がする...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...軟化したりと笑へり太甚しきは彼れを嘲つて主義と利福を交換したりといひ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...聖母の騎士修道院のポーランド修士が軟禁を解かれて阿蘇から帰って来た...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...その末には軟らかい針をかけるようになりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...だから空手(からて)では何處(どこ)へ行(い)つても竊取(せつしゆ)せざる限(かぎり)は存分(ぞんぶん)に軟(やはら)かな草(くさ)を刈(か)ることは出來(でき)ない...
長塚節 「土」
...言辭(ことば)は軟(やはら)かでさうして潤(うる)んで居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...ひと日母が手して竿に掛けさせければ我も日毎にかくしつゝ日に干せば日向臭しと母のいひし衾(ふすま)はうれし軟かにして日に疎き庭は土質悪しければ...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...彼は健(すこや)かに軟風(そよかぜ)の云ふを聞けば...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集≪学校時代の詩≫」
...〈僕の頭の軟弱地帯〉僕は書物を読む...
原民喜 「鎮魂歌」
...その道はあんなにも足触(あしざわ)りが軟(やわら)かで...
堀辰雄 「美しい村」
...これは柔軟な含蓄ある表現ですね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...堅固な自分の霊魂をも軟弱にしてしまうことを恐れたからだ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...鍋島(なべしま)の藍絵等は軟弱であって支那の染附(そめつけ)に向っては太刀打ちができない...
柳宗悦 「工藝の道」
...なんとなく自分らもすべてをまかせ切ったおちつきの中にその姿勢を柔軟(にゅうなん)なものにしていられた...
吉川英治 「私本太平記」
...「…………」又十郎は若い柔軟な四肢(しし)をすっくと伸ばした...
吉川英治 「柳生月影抄」
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