...この熱の発生と共に弾丸の外側がぐにゃりとしたゴムのように軟化し...
海野十三 「三十年後の世界」
...そして何だかグニャリと軟い物の上に置かれた...
海野十三 「深夜の市長」
...その客観は柔軟なる粘土の如く作者の手に従って形を成し...
高浜虚子 「俳句への道」
...あくまで之を摂取(せっしゅ)すれば、烏賊の細胞が彼女の肉体の細胞と同化し、柔軟、透明の白色の肌を確保するに到るであろうという、愚かな迷信である...
太宰治 「女人訓戒」
...母は軟(やわ)らかい羽織でも引っかけ...
徳田秋声 「縮図」
...」幼児のやうな柔軟さをもつた彼は...
徳田秋聲 「和解」
...米国人フェノロサは明治三十一年小林氏の主催したりし浮世絵展覧会の目録において広重が愛宕山の図につき論じて曰(いわ)く「遠く海を描きて白帆を点綴(てんてつ)したるは巧に軟風を表(あらわ)しまた自(おのずか)ら遠景において光線の反射を示せり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...(道灌山の図を見るものは直(ただち)に黄色(こうしょく)を帯びたる淡く軟かき緑色(りょくしょく)とこれに対する濃き緑(みどり)と藍(あい)との調和に感じまた他の一作洲崎弁天海上眺望の図においては黄色と橙色(とうしょく)との調和を見るべし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...浮世絵は美麗軽快にしてまた頗(すこぶ)る軟弱なる芸術なり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...世人は元禄の軟文学を論ずる時必(かならず)西鶴と近松とを並び称しているようであるが...
永井荷風 「正宗谷崎両氏の批評に答う」
...霜(しも)に逢(あ)ふまではと梢(こずゑ)の小(ちひ)さな軟(やはら)かな葉(は)の四五枚(まい)が潤(うるほ)ひを有(も)つて居(ゐ)るのみである...
長塚節 「土」
...その岬は大抵の場合は軟質の岩からなっていて...
中谷宇吉郎 「真夏の日本海」
...流石(さすが)に寒さはずっと軟(やわら)いでいた...
中谷宇吉郎 「雪後記」
...医薬品は煎じ薬、ハップ、湿布、塗り薬、軟膏、膏薬、稀には粉薬、または錠剤として与えられた...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...自由詩の如く軟體動物の醜惡を感じさせるものはない...
萩原朔太郎 「青猫」
...〈僕の頭の軟弱地帯〉僕は書物を読む...
原民喜 「鎮魂歌」
...その軟弱方針の裏書をしてやった開拓使だけであった...
本庄陸男 「石狩川」
...映画女優のあたまのよさは一方に瑞々しい適応性や柔軟性をもっていなければならず...
宮本百合子 「映画女優の知性」
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