...軈て智惠子は、昨日來た友達の手紙に返事を書かうと思つて、墨を磨(す)り乍ら考へてゐると、不圖、今日初めて逢つた信吾の顏が心に浮んだ...
石川啄木 「鳥影」
...軈てお吉が何か言ふ...
石川啄木 「天鵞絨」
...軈て彼奴を倒してやらう...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...軈て皆それぞれ盤に向かひ合つて将棋を差し始める」「初めのうちは...
外村繁 「将棋の話」
...私は軈(やが)て中学校に進み...
永井荷風 「一月一日」
...軈(やが)て靜に葉卷の煙を吹きながら...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...檐(のき)に立(た)つた蚊柱(かばしら)が崩(くづ)れて軈(やが)て座敷(ざしき)を襲(おそ)うた...
長塚節 「土」
...軈て夜具も運ばれた...
長塚節 「菜の花」
...何となく眠れない夜で、杉夫が台所に水を飲みに行つてゐる物音をゆき子はうとうと聴いてゐたが、軈(やが)て、すつと女中部屋の障子が開いた...
林芙美子 「浮雲」
...軈て杉枝が青い蜜柑を盆へのせて持つて來た...
林芙美子 「婚期」
...軈て楫の音をさせて...
林芙美子 「ボルネオ ダイヤ」
...軈(やが)て又(また)それが現(あら)はれるだらうと豫期(よき)して...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...福鼠(ふくねずみ)は又(また)それについて暫(しばら)く考(かんが)へて居(ゐ)ましたが軈(やが)て...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...軈がて其の因(わけ)がハツキリ頭に映ツて來る...
三島霜川 「平民の娘」
...三人は其所で暫く煙草を吸うてから軈(やが)て引き返した...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...軈て嫉妬を感じ始めた...
横光利一 「書翰」
...この物欲しき子の眼を見るべき母の眼がないならばその母は軈て子のために蹴られるのも定つてゐる...
横光利一 「絶望を与へたる者」
...軈ては歩行も、ひどくなると大小便の自由すら利かぬに到る...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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