...草木はしづかに禅定(ぜんぢやう)にでも入つたかのやうに身じろぎ一つしない...
薄田泣菫 「独楽園」
...お照」照子は身じろぎもしなかった...
高見順 「いやな感じ」
...本を片手に持って一時間身じろぎもせずに立っていなければならなかった怖ろしい罰を思い出した...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...いつまでもじっと身じろぎもせずにいた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...昔、その傍らにいつも坐つて、一人の婦人が、俯向いたまま、身じろぎもせず、物靜かな様子で、縫ひ物をしつづけてゐた窓...
ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 堀辰雄訳 「窓」
...身じろぎもならず坐ったぎり...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...誰も身じろぎも見せなかった...
本庄陸男 「石狩川」
...覚ませよ我が母なりし女の胸に汝が和らかき輝きをのせて母をねむりの中に身じろぎさせ...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...雪之丞、じっとみつめて、立木の蔭でつぶやいたが、――あれ、また、まつわる捕手――いっそ、一思いに、匕首で、斬っぱらってしまったら、よさそうなものなのに――雪之丞が、間遠(まどお)に見て、歯を噛んでいるうちに、又もや、斬り抜けた闇太郎、結句(けっく)、またも、多勢にかこまれて、身じろぎに、不自由を覚えて来た容子(ようす)――――相手は多い! 早う、親分お逃れになって――が、見る見る、ひしひしと取り巻いて来る同心、捕方――――なぜ、いつまでも、抜かないのだろう...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あてもない瞑想を續けようと身じろぎを愼んだ...
水野仙子 「輝ける朝」
...それでもあの子が自分のうれしさや元気でわれしらず身じろぎする刹那も...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...誰だ?男 ……花岡 おい!男 ……村子 どうしたの? 誰?男 ……(モズリと身じろぎをする)花岡 動くな! (尻のポケットから取り出した小型のピストルが右手の中で黒く光る)男 ……(口の中でなにかいっているが...
三好十郎 「胎内」
...その時身じろぎをしたので...
三好十郎 「廃墟(一幕)」
...暗い中で身じろぎをする身體の調子もちがいます...
三好十郎 「肌の匂い」
...柔らかに身じろぎなどをあそばす衣擦(きぬず)れの音によって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...幕府老中へ届けが出ているということです」津多女は身じろぎもせずに聞いていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...殆んど身じろぎもせずに本を読む...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...数正も、はッと、身じろぎを示し、「伝右ッ...
吉川英治 「新書太閤記」
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