...自分は道草を喰ひながら、どう/\りをしながら、迷ひながら、躓きながら、どうにかして此處まで歩いて來た...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...空想の善や美しき意圖が幾度かその實行に於いて躓きながら...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...幾度も石に躓き餘りに夜は大きく...
千家元麿 「自分は見た」
...五人女にも、於七が吉三のとこへ夜決心してしのんで行つて、鈴に蹴躓き、からからと大音響、傍に寝てゐる小僧が眼をさまして、あれ、おぢやうさんは、よいことを、と叫ばれ、ひたと両手合せて小僧にたのみいる、ところがあつたと覚えてゐるが、あの思はざる鈴の音には読むものすべて、はつと魂消したにちがひない...
太宰治 「音について」
...かへつて悲慘な躓きをするでせう...
太宰治 「私信」
...彼は幾たびか躓き倒れながら進んだ...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...躓き易くなつて老を感じる...
種田山頭火 「其中日記」
...「本木傳」の多くが彼の入牢を「ほんの躓き」とする傾向をおびてゐる...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...少なくとも原文の誤植は翻訳しようとする時の重大な躓きになる...
戸坂潤 「クリティシズムと認識論との関係」
...躓き躓き歩いた...
豊島与志雄 「失われた半身」
...それらはこの世の活動におけるが如く妨げや躓きや又缺乏や努力やを知らぬ...
波多野精一 「時と永遠」
...躓きかげんの軽重に就いて研究してゐる動物だと伊庭は説明した...
林芙美子 「浮雲」
...躓きさうな階段をのぼつて薄暗い廊下の方へ来ると...
原民喜 「災厄の日」
...そもそも躓きのもとでした...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...一足毎に木や石に躓きそうでなりません...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...躓きながら、「ポツダム宣言全部承認...
横光利一 「夜の靴」
...突然躓きかかった痛みを胸に覚えて彼は思わず両手で骨箱を強く握った...
横光利一 「旅愁」
...小暗く立ち繁つた巨樹の根が道を横切つてゐて躓きがちである...
吉江喬松 「山岳美觀」
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