...寂寥や焦躁や不機嫌や――凡て内面に喰入る孤獨を男らしく自分一人で堪へ凌いで...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...自分の立場に一日でも早く立ち上がろうとする焦躁(しょうそう)は激しくなった...
有島武郎 「星座」
...ここ一ヶ月ばかり彼は非常に躁鬱性(そううつしょう)に陥っていましてね...
海野十三 「密林荘事件」
...焦躁(いらつ)く胸をじっと抑(おさ)えながら急いで...
近松秋江 「狂乱」
...あまり女の心のいい甲斐(がい)なさと頼りなさとが焦躁(もどか)しかった...
近松秋江 「霜凍る宵」
...焦躁に全身を慄わせ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...――無事なら宜いが」平次の顏に現はれた焦躁(せうさう)の色を見ると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八五郎にまでも焦躁を感じさせます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この焦躁感のまじった探究心はますますその悩みと傷口を大きくする...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...由三は他に若い血を躁がせて歩くところが出來たので...
三島霜川 「昔の女」
...追っ立てられるような不安と焦躁とを感じ始めた...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...ようやくその為人(ひととなり)が現われてくるにつれて天性やや軽躁(けいそう)...
吉川英治 「三国志」
...はやく孔明が何とか論駁(ろんぱく)してくれればよいが――とひそかに焦躁(しょうそう)していると...
吉川英治 「三国志」
...悍馬(かんば)が前脚で土を掻くような焦躁(しょうそう)をどうしようもなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...いかなることがあろうとも、揺(ゆ)るぐな、躁(さわ)ぐな、怯(おび)えまいぞ、綽空が、一緒だと思え、良人(おっと)の力、御仏(みほとけ)の御加護があると思え」雑人たちは、輦(くるま)のそばで、牛飼をさがしていた...
吉川英治 「親鸞」
...紋太夫のひと知れぬ焦躁といったらない...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...その焦躁を抑えていても依然として武蔵の影は見えて来ないし――たまらなくなって...
吉川英治 「宮本武蔵」
...佐渡は白い眉毛に焦躁をたたえていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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