...大らかに、ゆるやかに、深く、靜かに歩みを運ぶことの、喧噪しながら、焦躁しながら、他人の面上に唾を吐きかけながら、喚叫しながら、驅け出すよりも更に尊いことを教へた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...得三は腰に付けたる短銃(ピストル)を発射(はなつ)間(ま)も焦躁(もどか)しく...
泉鏡花 「活人形」
...わが人民の議論つねに軽躁に走りて遠大の見識なきを憂え...
井上円了 「欧米各国 政教日記」
...ますます狂躁(きょうそう)に向い...
梅崎春生 「桜島」
...飲むほどにいささかの躁狂的な傾向もあらわれて来たようです...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...焦躁(しょうそう)の色蔽(おお)うべくもなく...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...と後悔やら恐怖やら焦躁(しょうそう)やらで...
太宰治 「新釈諸国噺」
...不安と焦躁(しょうそう)に眼ばかり光らせている雇人の中をお勝手から納戸へ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...憤怒と焦躁に、煙の立つようになって居る富山七之助の顔を眺めながら、面白そうに庭石の上で足踏しているうち、フト足を踏み滑らして、仰向に倒れてしまったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...私がその失敗の後に非常な焦躁(しょうそう)と不安とを感じたことをもって見れば私の企ての動機のなかに不純なものが含まれていたことは明らかである...
三木清 「語られざる哲学」
...「どうしたものか?」焦躁(しょうそう)の気を眉にあつめて...
吉川英治 「三国志」
...戦いに焦躁(しょうそう)するな...
吉川英治 「三国志」
...胸躁(むなさわ)ぐ心の影は...
吉川英治 「新書太閤記」
...(――玄蕃めがどうしても肯(き)かぬとあれば、われ自身出向いても、こよいのうちに引揚げさせん)とまでいったという柴田勝家の焦躁(しょうそう)は、焦躁としても、さすがに兵家の老練といっていい...
吉川英治 「新書太閤記」
...もう以前のような仕事に焦躁(あせ)る事はしなかった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...城郭内(じょうかくない)の躁(さわ)ぎがしずまらないので...
吉川英治 「日本名婦伝」
...耐えきれない焦躁(しょうそう)になるのは勿論である...
吉川英治 「宮本武蔵」
...昨夜からの自分の焦躁(しょうそう)が...
吉川英治 「宮本武蔵」
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