...実験室ばかりで仕事をしている学者達はめったに引っかかる危険のないようなこうした種類の係蹄(わな)が時々「天然」の研究者の行手に待伏せしているのである...
寺田寅彦 「静岡地震被害見学記」
...路を轉じて單蹄の馬をすゝめぬ――アテーネー馬に勇氣を鼓吹して勇者に譽與へたり...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...そのいずれをも斬りそこねたのか――蹄(ひづめ)の音はカツカツとして...
中里介山 「大菩薩峠」
...街角にあいた活動写真館の馬蹄をぬけ出ると...
仲村渠 「明るい顔」
...ああ蹄の音もかつかつとして私はうつつにうつつを追ふきれいな婦人よ旅館の花ざかりなる軒にくるまで私をゆり起してくださるな...
萩原朔太郎 「蝶を夢む」
...彼等は敵を駒の蹄にかけて踏みにじり...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...駒の蹄の音ばかりが長閑にそろうてゐるばかりで一向脚なみは速まらなかつた...
牧野信一 「出発」
...勇ましく馬蹄の音を立てているのが著しく殖えて来た...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...蹄の痕があんまり深過(ふかす)ぎるので...
宮沢賢治 「イギリス海岸」
...蹄の二つある足跡のついた岩が...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...蹄(ひづめ)の二つある足跡(あしあと)のついた岩(いわ)が...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...後脚の蹄でトンと月光のこぼれて居る地面を蹴った...
宮本百合子 「黒い驢馬と白い山羊」
...遠石の馬蹄を印した石は...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...さつき遠くに蹄の音を響かせてゐた人間が...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...駄馬の蹄の音がかたかたと強く響いた...
横光利一 「旅愁」
...馬蹄のあとには、無数の死骸が捨てられ、悍馬(かんば)絶叫(ぜっきょう)、血は河をなした...
吉川英治 「三国志」
...曹軍の麾下(きか)にも張飛以上の者あることを、今ぞ確(しか)とご覧あれ」と喚(おめ)きながら、馬の蹄をあげて、だだだだっと、橋板を踏み鳴らして、張飛のそばへ迫りかけた...
吉川英治 「三国志」
...馬蹄(ばてい)をかわしてふりかえったひとりの影...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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