...僕は声も出なくなって恨(うら)めしくそれを見つめながら地(じ)だんだを踏むばかりでした...
有島武郎 「僕の帽子のお話」
...幸い薄氷(はくひょう)を踏む思いの長い三十分は...
海野十三 「白蛇の死」
...彼は押釦を踏む必要があったばかりでなく...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...まるで臼(うす)の中のもちを踏むように踏みつづける...
江戸川乱歩 「影男」
...それで不思議な事には自分の身体の軽い事といったら踏む足が...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...(だく)を踏むやうな歩(あし)つきで前を通つて往つた...
薄田泣菫 「茶話」
...長く離れていた東京の土を久しぶりで踏むのが楽しいようでもあり...
徳田秋声 「黴」
...米友が二度舌打ちをして地団駄を踏むのも無理のないことで...
中里介山 「大菩薩峠」
...下から階子段を踏む音がして...
夏目漱石 「行人」
...二十ばかり足を踏むと...
新美南吉 「疣」
...力んで夫々の脚を踏むのである...
牧野信一 「冬の風鈴」
...私は徐々に正しい道を踏む事が出来そうになって来た...
松永延造 「職工と微笑」
...森閑として木下闇(このしたやみ)に枯葉を踏む自分の足音が幾度か耳を脅かした...
水上滝太郎 「山の手の子」
...波のように砂利を踏む無数の足音...
宮本百合子 「思い出すかずかず」
...(草を踏む音をさせて坂をくだりはじめる)金吾 へえ...
三好十郎 「樹氷」
...次第に我々の踏む土の下に引き寄せて...
柳田国男 「海上の道」
...軍医大佐は足の踏む処も無く並び重なっている負傷兵の傷口を一々点検しているらしい恰好である...
夢野久作 「戦場」
...死屍(しし)を踏む者...
吉川英治 「新書太閤記」
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