...この路次裏の井戸が即ち馬琴の硯の水で...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...赤ん坊の泣きわめく聲が湧き起りうす汚ない朧ななりをしたそこら界隈の男や女が小供を肩車に乘せたり三人も五人も一人でゾロ/\引張つたり火事で燒き出された人のやうに小供の着替やむつきを兩の小脇に一杯抱へて恐ろしい路次の闇から異形な風で現はれ赤い燈火が滲みもう/\と暖い煙の蒸しこめた錢湯へ吸ひこまれて行く...
千家元麿 「自分は見た」
......
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...あんなゴミゴミした路次の中に育ったので...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...みのるは暗い路次の外れで挨拶して別れた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...ほとんど毎夜のように上京(かみぎょう)の方から遠い道を電車に乗って出て来ては路次の中に忍んで...
近松秋江 「霜凍る宵」
...不知不識(しらずしらず)其方へと路次を這入(はい)ると道はいよいよ狭くなって井戸が道をさえぎっている...
寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
...狭い路次を二人の肩にもたれ...
徳田秋声 「縮図」
...ブリキ屋のつい近くの路次に往んでゐた...
徳田秋声 「チビの魂」
...暗い路次の中へ消えていった...
豊島与志雄 「悪夢」
...狭いうねうねした路次の方へ滑り込んでいった...
豊島与志雄 「悪夢」
...往来から十間ほどひっこんだ路次にはいって行った...
中島敦 「斗南先生」
...路次を出るや否や...
夏目漱石 「永日小品」
...友人の案内を受けながらまつ暗な狹い路次を曲り曲つてやがてはひつたのが私人の宅らしい感じの二階建...
南部修太郎 「阿片の味」
...高い煉瓦塀にせばめられた暗い路次を通り拔けて...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...一間(けん)ばかりの路次(ろじ)を隔(へだ)ててすぐ隣(となり)の家(うち)の同(おな)じ二階(かい)の窓(まど)から...
南部修太郎 「麻雀を語る」
...其の貧相な路次の中では異彩を放つ粋な小造りの二階家で...
西尾正 「陳情書」
...小さな路次をいくつも通り拔けて行つた...
堀辰雄 「日時計の天使」
便利!手書き漢字入力検索