...父(さうふ)少童には石像の趺(だいいし)に攀(よ)ぢ上れるあり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...結跏趺坐の金仏だ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...或(あるひ)はトルコ風(ふう)に寐臺(ねだい)に趺(あぐら)を坐(か)いて...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...瞑目のまま静かに趺坐して両掌を膝に組むこの質素極まる風姿は...
高村光太郎 「本邦肖像彫刻技法の推移」
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武田祐吉 「古事記」
...如来ノ坐像ハイズレモ男性的ニ結跏趺坐シテイルガ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...大縞(おほしま)の褞袍(どてら)を着た五十ばかりの中老漢(ちゆうおやぢ)が趺坐(あぐら)をかいて坐つて居るので...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...入って来るからちょうど真正面(まとも)にそっち向きに趺座(あぐら)をかいていた柳沢の顔を見て燥(はしゃ)いだように笑いかかった...
近松秋江 「うつり香」
...相公閣下、閣下は元来職守に厳に、職権を行するを以て高名なりし人なり、井上伯は閣下に比すれば、機略に富み決断に長ずれども、其の趺宕の性、動もすれば法律規則を無視するの弊あり、伊藤侯は閣下に比すれば、立法の才、組織の能力に於て超絶すれども、其の文采言語の多き割合には其の実行躬践の分量甚だ少なきの欠点あり、閣下は固より伊藤侯の才能なく井上伯の胆気なしと雖も、而も曾て重きを藩閥政府に有したるは、実に官府の秩序と威権とを保維するを以て行政の要と為したるに由れり、其の或は極端なる法治主義に偏して時に精刻峻急に陥るの病ひあるのみならず規摸も亦甚だ狭小にして、官権拡張の外殆ど大なる主張なかりしに拘らず、我輩は尚ほ此点に於ける閣下の本領を認めて、所謂る藩閥武断派の代表者と為したりき、今や閣下の本領は全く消磨して、精刻峻急の角度を取り除きたる代りに、秩序もなく、節制もなく、官紀を紊乱し、行政機関を荒廃して、唯だ内閣一日の姑息を謀らむとす何ぞ其の老ゆるの太甚しきや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...彼は多くの場合に於て極めて沈黙なりと雖も、是れ唯だ眠れる獅子の沈黙のみ、其勃然として一たび自席を起つや口を開けば悪罵百出、瞋目戟手と相応じて、猛気殆ど当る可からず、曾て原敬氏を罵つて国賊と為すや、叱咆哮、奮躍趺宕、恰も狂するものゝ如く、人をして全身の血管悉く破裂せざるかを疑はしめたりき当時某代議士は彼れが感情の満潮に達するを観て其或は気絶せんことを恐れ、窃かに介抱の準備を為したりと語りしほどなれば、其言動の激烈なりしこと以て想見す可し而も世間彼れの疎狂を咎めずして、反つて彼れに同情を寄与するもの多きは何ぞや...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...門人達は、低く、経文を誦して、師の呪法を援け、玄白斎は、右手に、杓を、左手に、金剛杵(しょ)を執って、瞑目しつつ、無我無心――自ら、日輪中に、結跏趺坐して、円光を放ち、十方の諸仏、悉く白色となって、身中に入る、という境地で入りかけた...
直木三十五 「南国太平記」
...中央の岩上に結跏趺坐(けっかふざ)した釈尊(しゃくそん)の周囲に...
中谷宇吉郎 「『西遊記』の夢」
...地面に趺坐(ふざ)して閑雅な支那の賭博(ばくち)をしていた...
萩原朔太郎 「日清戦争異聞」
...阿那律すなわち前(すす)みて室に入り結跏趺坐(けっかふざ)す...
南方熊楠 「十二支考」
...中に一片(ぺん)の丸木船に杓子(しやくし)の様な短い櫂を取つて乗つて居る丸裸の黒奴(くろんぼ)が趺坐(あぐら)をかき乍(なが)ら縦横に舟を乗廻して頻(しき)りに手真似で銭(ぜに)を海中に投げよと云ふ...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...草鞋穿(わらぢばき)の儘(まゝ)上段の間(ま)に趺坐(あぐら)を掻き...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...ここに趺坐(ふざ)すると...
吉川英治 「親鸞」
...趺坐(ふざ)していた跡かのような所も見える...
吉川英治 「宮本武蔵」
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