...幾分ながら同情を惹(ひ)くに足るものには相違なかった...
芥川龍之介 「蜜柑」
...逆俗等ありて数奇不遇不幸惨憺の境界に誘(いざな)ふに足る源因なかるべからず...
石橋忍月 「罪過論」
...「一日の労苦は一日で足る」...
井上貞治郎 「私の履歴書」
...この点からいってもあんたの持ってきた話の中には三人の双生児という重大な謎を解くに足るものがすこしも入っていないじゃありませんか...
海野十三 「三人の双生児」
...偶々之あるもそは例外とするに足る可からんのみ...
高木敏雄 「比較神話学」
...この「久遠の街(イタアナル・シティ)」へ潜り込んだのだと信ずるに足る...
谷譲次 「踊る地平線」
...和流は十分西洋流に敵するに足るといえり...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...危険や苦痛や死をさえも冒すに足るだけの...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...わが担任する授業のほかには天下又一の力を用いるに足るものなきを吹聴(ふいちょう)し来(きた)るのである...
夏目漱石 「作物の批評」
...当時の好尚を示すに足ると思うから...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...語るに足る対手としての最小限の発達線...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...当時の此二家の平和なる生活を窺ふに足るものがある...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...相沢とはかりてエリスが母にかすかなる生計(たつき)を営むに足るほどの資本を与え...
森鴎外 「舞姫」
...優(まさ)にロビンソン・クルーソー以上の奇談を綴るに足るものがあったのですよ...
夢野久作 「キチガイ地獄」
...一挙に打ち破るに足る或る恐るべき秘密の鍵を発見しそうな予感に打たれつつ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...なお食するに足る物が蔵(しまわ)れていた...
吉川英治 「日本名婦伝」
...それで足る...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...お麗に夫(め)あわすに足る若者は...
吉川英治 「べんがら炬燵」
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