...これこそは本当の生命の赤裸々な表現ではないか...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...そこで今自分は、一年中最も樂しい秋の盛岡――大穹窿(てんじやう)が無邊際に澄み切つて、空中には一微塵の影もなく、田舍口から入つて來る炭賣薪賣の馬の、冴えた/\鈴の音が、市の中央(まんなか)まで明瞭(はつきり)響く程透徹であることや、雨滴(あまだれ)式の此市(こゝ)の女性が、嚴肅な、赤裸々な、明皙の心の樣な秋の氣に打たれて、『ああ、ああ、今年もハア秋でごあんすなつす――...
石川啄木 「葬列」
...『這(こんな)社會だから、赤裸々な、堂々たる、小兒の心を持つた、聲の太い人間が出て來ると、鼠賊共、大騷ぎだい...
石川啄木 「漂泊」
...はたして自分自身に対して完全に赤裸々な態度をとり...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...この赤裸々な散文的情調が気に入ったのだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...現実の赤裸々な相貌を呈出することだけに止まる文学を...
豊島与志雄 「今日の条件」
...彼は赤裸々なドイツ芸術を見た...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もし僕が君らの赤裸々な実相を言ってやろうと思ったら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...赤裸々な清さに澄み返り...
豊島与志雄 「大自然を讃う」
...人間の赤裸々な感情は一寸でも美しい異性に接すると性欲を持つのである...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...果然、「ジエィン・エア」は、赤裸々な、舊套を脱した、奔放な、熱烈な、眞新しい言葉で綴られた物語として、讀書界に、センセイションの旋風を捲き起した...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...良人カールの月賦診療所をめぐって展開される赤裸々な社会生活の絵図と...
宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
...彼の赤裸々な風貌がうかがい見られる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どうしても赤裸々な弟の行状を語ることができなかった...
吉川英治 「剣難女難」
...だが子供たちのすく/\と伸びた健かな赤裸々な肉体を見出す時...
吉田絃二郎 「八月の星座」
...貴方はライオン・ロックの高嶺のように赤裸々な方だから正義と自己の信念を愛したのです...
吉行エイスケ 「地図に出てくる男女」
...不思議にも、それは、着物も何も着ていない、赤裸々な、悩ましい腰であった...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...それは一世紀以来の赤裸々な実力競争において...
和辻哲郎 「鎖国」
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