...質素な椅子(いす)やテエブルの間に何か清らかな幸福が漂っているように見えるのです...
芥川龍之介 「河童」
...清教徒風に質素な早月の佗住居(わびずまい)の周囲を霞(かすみ)のように取り巻き始めた...
有島武郎 「或る女」
...留守居かと思う質素な老僧が...
泉鏡花 「遺稿」
...一歩一歩にどうにか質素な内輪な歩き方をしてゆかうとしかけてゐる私がどうなるかしれないと思ひますと...
伊藤野枝 「九州より」
...質素な花のやうに寂しいあの女よ...
鈴木三重吉 「金魚」
...質素な香炉に過ぎないのだ...
薄田泣菫 「木犀の香」
...見よ若き母が隱し得無い喜びに輝きつゝ赤ん坊を脊負つて買物に歩むのをその素直の姿の娘らしいつゝましさをその質素な姿の美くしさを...
千家元麿 「自分は見た」
...彼の日常生活はおそらく質素なものであろう...
寺田寅彦 「アインシュタイン」
...狭い階段をいくつも上っていちばん高い所にB君の質素な家庭があった...
寺田寅彦 「異郷」
...見たところ質素な...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...質素な綿服(めんぷく)に夏中海水浴で冠(かぶ)る麥藁の帽子を冠つて...
永井荷風 「新歸朝者日記 拾遺」
...身扮(みなり)は木綿物の至つて質素なもの...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...新鮮で質素な食事にありつき...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...母は芸妓気質の塵程も見えぬ聡明な質素な女であつた...
村山槐多 「悪魔の舌」
...質素なる皿に盛られし野菜もて食事することを恐るること(ホラティウス)は...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ごく質素な食膳(しょくぜん)を見たとき...
山本周五郎 「半之助祝言」
...生活が質素なせいか格別...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...極く質素な頭飾とを着けてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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