...温厚で質実な人柄のナニガシで...
宇野浩二 「思ひ出すままに」
...「質実な作家が、質実な作家として認められることは、これは、大変なことで、」語尾が震えていた...
太宰治 「思案の敗北」
...質実な村の生活を棄てて...
橘外男 「仁王門」
...ことごとくこの質実なる古着屋の主人公自らを指すものと御承知願いたい...
橘外男 「蒲団」
...質実なのが何よりうれしい...
種田山頭火 「旅日記」
...質実な武家出の旅の若者のかいがいしい武骨さがあるばかりであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...四人の質実な精神は理解されないのである...
久生十蘭 「キャラコさん」
...氏の質実な世界への...
菱山修三 「再びこの人を見よ」
...「唐人お吉」についで「あの道この道」を発表し、さらに、「街の斧博士」「時の敗者」等を発表した十一谷義三郎(じゅういちやぎさぶろう)もまた、その質実な、根気のよい、手堅い作風において、滔々(とうとう)たる即興的小説の型を破った作家である...
平林初之輔 「昭和四年の文壇の概観」
...がつちりとした質実な感じで...
牧野信一 「海路」
...質実な美感の深さ...
宮本百合子 「新しい美をつくる心」
...もし作者が一小学教師の煩悶、反逆を、野蛮な封建的絶対主義的抑圧と闘う労働者農民の立場に立って把握したならば、当然天使的な無邪気な子供というブルジョア的観念化からも救われ、佐田のイデオロギー的飛躍と実践とは、もっと質実な、納得のゆけるものとして描かれたであろう...
宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
...生活に一層の質実な潜精力を加えることは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...健康なものや淳朴なものや質実なものが数多く見出されます...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...感興よりももっと質実な性質を与えている...
柳宗悦 「苗代川の黒物」
...依然むかしを忘れぬ質実な風に打たれるということを...
吉川英治 「新書太閤記」
...質実な素朴な、心の細やかそうな、そして勝ち気らしい印象を受けた...
若杉鳥子 「旧師の家」
...そこからいっさいの悪臭ある流風が素朴質実なる地方に伝染した...
和辻哲郎 「地異印象記」
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