...大遠征軍、貴公子の御大将、艱苦、希望、大見得――そのすべてがついに、むなしい屈辱と、無限に中途半端な睨み合いの底に沈み――つまり、瓢箪鯰の、チロオヌ一流の勝利へと、まるめこまれたのだった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...二人は貴公子と麗人...
太宰治 「竹青」
...貴公子、鉄鎚(かなづち)だつたのかな?」「いや、令嬢のはうで、たくさん惚れてゐたからだと思ひます...
太宰治 「富嶽百景」
...金釦の貴公子らしい兄弟の少年が庭下駄をはいて...
徳田秋聲 「二つの失敗」
...それを聞き終った貴公子――昨晩...
中里介山 「大菩薩峠」
...そのわび住居(ずまい)まで同道しや」貴公子はこう言って...
中里介山 「大菩薩峠」
...仮りに高村卿と呼ばれていた英気溌剌(はつらつ)たる貴公子があって...
中里介山 「大菩薩峠」
...英気溌剌たる貴公子であった...
中里介山 「大菩薩峠」
...この貴公子の尊大な言語挙動が...
中里介山 「大菩薩峠」
...「それがその、ほかの事と違いまして、現在自分の家がありながら、葬式の席をかせと申しがたいことでもござりまするし、それに、当人が、第一よろしくござりませぬ、それ故に死んだ後までも親類中に忌(い)み嫌われて、葬式の席を貸そうと申し出でる者も無いこと故に……」用人が、かく弁解すると、貴公子は、「だから、この家でやるがよい、わしはいっこうかまわぬのじゃ」「それが、甚(はなは)だ恐れ多い儀でござりまして、当人は不浄の上に、人より天罰と申されるほどな非業(ひごう)の死を遂げた人間でござりまするが故……」「うむ、天罰、何かよほどの悪いことをしたのかな」「淫楽に耽(ふけ)りまして、目も当てられぬ挙動(ふるまい)をのみ、致しおったそうでござります」「ナニ、淫楽に耽った……」「はい」「淫楽――というのも程度問題じゃな、これだけの家を踏まえている主人として、妾(めかけ)の一人や二人あったからとて、死んだ後まで、そう嫌わんでもよいではないか」貴公子が存外、さばけて挨拶をするのを、用人は、いっそう恐縮して、「それがその、男性でござりませぬが故に……」「男性? 男ではないのか、この家の元の主人は」「はい、夫なるものは死に失せまして、後家を立てておりましたが、いやはやどうも、箸にも棒にもかからぬ淫婆でござりまして……」「おお、そうか、女主人であったのか」「はい」しかしながら、女主人であるが故によいとも、悪いとも言わず、碁の手が難局になったと見えて、そこで貴公子は沈黙してしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...ホンの目睫(もくしょう)の間(かん)である」貴公子は...
中里介山 「大菩薩峠」
...氣まぐれで我が儘だつた白面の貴公子が...
中島敦 「盈虚」
...この子はすでに美しい貴公子の相があるのは危険なこととも思われる...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...この二人のすぐれた貴公子に準じて見るほどの人もない世の中ではしかたがないと考えられるのであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...貴公子仲間の斐誠(ひせい)がいつも一しょに来る...
森鴎外 「魚玄機」
...貴公子只今お附(つき)申して参る途中で...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...弱々しい貴公子が...
吉川英治 「三国志」
...見るところ三十ぐらいな貴公子だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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