...而(そ)して鰐(わに)の晩飯時分、孔雀(くじゃく)のやうな玉(たま)の燈籠(とうろう)の裡(うち)で、御馳走(ごちそう)を会食して居る……一寸(ちょいと)、其の高楼(たかどの)を何処(どこ)だと思ひます……印度(インド)の中のね、蕃蛇剌馬(ばんじゃらあまん)……船着(ふなつき)の貿易所、――お前さんが御存じだよ、私よりか、」と打微笑(うちほほえ)み、「主人(しゅじん)は、支那(しな)の福州(ふくしゅう)の大商賈(おおあきんど)で、客は、其も、和蘭陀(オランダ)の富豪父子(かねもちおやこ)と、此の島の酋長(しゅうちょう)なんですがね、こゝでね、皆(みんな)がね、たゞ一(ひと)ツ、其だけに就(つ)いて繰返して話して居たのは、――此のね、酋長の手から買取つて、和蘭陀の、其の貴公子が、此の家(うち)へ贈りものにした――然(そ)うね、お前さんの、あの、御先祖と云ふと年寄染(としよりじ)みます、其の時分は少(わか)いのよ...
泉鏡花 「印度更紗」
...運転手と並んで腰かけていた貴公子風の男だった...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「深夜の客」
...ある王子とシビという貴公子の物語として傳承されたのが原形であろう...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...向うより勢いよく馳せ来る馬車の上に端坐せるは瀟洒(しょうしゃ)たる白面の貴公子...
寺田寅彦 「半日ある記」
...同時にあの貴公子風の情熱詩人と葉子との...
徳田秋声 「仮装人物」
...瀟洒(しょうしゃ)たる貴公子であるこの人が...
中里介山 「大菩薩峠」
...この異様な貴公子の挙動が解しきれないものであったが...
中里介山 「大菩薩峠」
...やがて兵馬はこの貴公子に引き立てられて...
中里介山 「大菩薩峠」
...兵馬を相手に碁を囲んでいた貴公子は...
中里介山 「大菩薩峠」
...貴公子風な若男爵のフレデリック・フオン・シイドウが學生生活を送つてゐる...
南部修太郎 「死の接吻」
...わたしは五月の貴公子である...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...否さながらの貴公子である...
平出修 「瘢痕」
...貴公子然たるハルトマンに対してハイデッゲルは全くの田舎者です...
三木清 「消息一通」
...ヒットラーになりすまして笑いもせず貴公子らしく写っている姿は...
宮本百合子 「仮装の妙味」
...この貴公子を取り散らした自身の部屋へ置いて行くことを済まなく思いながら...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...生白い貴公子然たる眼鼻立の青年であったが...
夢野久作 「女坑主」
...たいへん粋(すい)な貴公子だと...
吉川英治 「新・水滸伝」
...そこでこの貴公子はさかんに六条柳町へ通ってくる...
吉川英治 「宮本武蔵」
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