...人間の他の諸々の活動よりも何か格段に貴い事のやうに思ふ迷信――それは何時如何なる人の口から出るにしても私の心に或反感を呼び起さずに濟んだことはない...
石川啄木 「歌のいろ/\」
...「これは貴い御子樣だ」と言つて...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...如何に輝かしい貴いことであるか! 吾々は大自然に接して初めて...
豊島与志雄 「大自然を讃う」
...その間に得たものは貴い経験となった...
永井隆 「この子を残して」
...一生に一度こんな貴い上人のお手ずからの名号をいただく冥加(みょうが)の嬉しさ...
中里介山 「大菩薩峠」
...けれどもそれが彼の現在に於ては尤も適切で且つ貴いことであつた...
長塚節 「商機」
...どんなに貴いか知れないということを...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...善良なる生活を営むのが貴いのである...
穂積陳重 「法窓夜話」
...その貴い写絵を得ることは...
牧野信一 「蘭丸の絵」
...豊かな果樹園をつくるのは貴い魂にふさわしい仕事だ...
三木清 「私の果樹園」
...どんな貴い御身分の方でも親御様にお死に別れになったあとでは...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...もしキリスト教のためにかほどに貴い貢献をしたその著作を埋めようか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...各々の被造物にとって自分の存在より大切で貴いものはないということである((c)獅子や鷲や海豚(いるか)は...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...彼らのより貴いのもまた卑しいのも...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...事なき境地に在る者こそ貴い人だと云われます...
柳宗悦 「美の国と民藝」
...これは我々文明人が、あまりに眼とか耳とかいう五官の活用に信頼し過ぎたり、理詰めの器械を迷信し過ぎたりするために、この非常に貴い、この上もなく明白な「天賦の能力」を忘れているからで、一つは近頃の世の中が、あまりに科学や常識を尚(たっと)ぶために、人間の頭が悪く理窟で固まってしまって「神秘」とか「不思議」とか「超自然」とかいう理窟に当て箝(は)まらない事を片端(かたはし)から軽蔑して罵倒してしまうのを、文明人の名誉か何ぞのように心得ているために、このような大きな自然界の事実を見落しているものと思う...
夢野久作 「暗黒公使」
...従って真に貴い諧謔は「痛苦」から...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
...それ自身の貴い魂を持つと言える...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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